少女漫画の名作
主人公の透は母親を亡くし、一人でテント生活をしている女の子です。第一話から衝撃的な始まり方をしますが、透の前向きでひたむきな姿が、重苦しさを感じさせません。また出てくるキャラクターたちが個性豊かで、おもしろいです。
普通の学園生活モノだと思いきや、ファンタジー要素もあったりと、読んでみると夢中になってしまいます。ただ、そんな彼ら彼女たちのにも悩みや葛藤があって、どれも自分の中に当てはまるようなものがあったりします。その中で、透の言葉は心にぐっとくるものがあります。人によっては救いになったり、勇気をもらえたりします。ただの綺麗語として片づけずに、相手と向き合ってかわされる会話に、読んでいるほうも他人事ではないなと、共感したりします。
人との関わりの中で生まれる大切なものや、それ故に傷つけあうものもあり、それでいてなお、透を通して見る世界は優しく見えるのが不思議です。巻を通して、キャラクターたちの変化や考え方が変わったり、成長したりする所も見どころで、何度も読み返すたびに違った見え方がするから不思議です。そして、毎回変わらないのは、この漫画に出会えてよかったなと、思えるところです。出てくるキャラクター皆が愛しくなってきます。涙あり笑いありの不思議な作品です。