価値観の反転につぐ反転。スリービルボード。
この作品は主人公の女性がスリービルボード、三枚の広告看板を出すことからストーリーが始まります。主人公は娘を暴行され焼かれて殺されるというとてつもない悲劇に見舞われています。そこで広告看板を出す、なんで捜査をしてくれないの、犯人の逮捕はまだ?という内容と、地元の警察官の名前も載せています。
この流れだと、悪徳警察官と、善の主人公の話しのように感じますが、この作品は違います。主人公の気持ちもわかるし、警察官の気持ちもわかる。両者にも、ほかの登場人物にも善と悪が両方混在しており、それは立場によって見方が変わる映画だと思います。
こんなひどいことをするという場面でも、気持ちがわかってしまうような場面が多く、善悪の価値観を問いかけられる映画なので、観た後にはドッと疲れたという感覚を覚える人もいると思います。そして、観た後もずっとジワジワジワジワ考えが沸いて、眠れなくなります。ここはこうだろうという絶対的な答えがないので、観た人と感想を言い合いたくなります。
決して気持ちの良い映画ではないのですが、映画好きの人には絶対に観ることをオススメします。そして自分なりの考えを構築する作業がとても楽しい作品だと思います。