日本ポップス界の重鎮的存在
山下氏のキャリアを語るうえでは欠かせないことが幾つかあります。それは山下氏がソロ・アーティストになる前に活動していた「シュガー・ベイブ」というバンドについてです。このバンド、活動時期にはあまり高い評価がえられなかったようで、リアルタイムでは受けなかったらしいのですが、現代においてはその唯一のアルバム『SONGS』は名盤と誉れ高い存在になっています。このアナログ盤、ネット・オークションでは6万円ぐらいの高値なのですから推して知るべし。
その後、『RIDEONTIME』でのブレイク以降については既にご存知の通り。クオリティの高いポップ・ミュージックをクリエイトする作風は他の追随を許しません。とはいうものの90年代に入ってからのアルバムリリースが少なくなったという側面もあります。それは山下氏自身がなかなか満足できない、レコーディング設備での試行錯誤があったということです。また、旧譜のカタログについても大事にしている点も見逃せません。70年代から80年代初頭のアルバムを2000年代に昨今流行のデジタル・リマスターでリイシューしたことです。そして、この2000年代にこの旧譜の曲だけを演奏するコンサート・ツアーまで敢行するのですから、山下氏の音が如何に普遍的なものかの証といえましょう。