一話完結のため、どこから読んでも面白い
ドラえもんという未来の世界から来た猫型ロボットが、怠け者の主人公であるのび太の生活を、未来の世界の道具にて幇助するという内容の漫画である。一話完結型で一話ごとに一つの未来の世界の道具を活用して話が展開される。
魅力の一つとしては、未来の道具それ自体の性能の面白さを感じることができる点である。どこでもドアという、現在位置から目的地までをドア一枚でつなげることができる、というかなり便利な道具がある一方で用途が限定的で未来の世界の利便性を享受しているという実感を伴わないという不思議な道具が出てくるという未来の道具は単に便利なだけではないというアンバランスさが物語を非常に面白くしている。また、人物も非常に魅力的で怠け者で何事にもやる気がなく能力もない主人公であるのび太という小学生の行動が面白い。行動力や発想力は意外とあるのだが、いかんせんもともとの身体能力であったり勉学に励む能力に乏しく、借り受けた未来の道具を活用してより良い生活を送ろうとするも毎度毎度あらぬ使用方法により周囲を巻き込んでトラブルを発生させていくのである。
この不可思議な未来の道具とやる気だけはあるが能力のない少年の取り合わせにより、物語世界は色彩を帯びた豊かさに包まれることになる。一話完結のため、どこから読んでも面白いという点も非常に良い点である。