スタンドと頭脳を駆使した激闘が熱い
本編ではスタンドと呼ばれる自身の精神が具象化した存在を能力として駆使して戦う。このスタンドは原作者の荒木飛呂彦氏が漫画界にて初めて「超能力を可視化」したことでも有名だ。つまり超能力は能力者の精神や魂から生まれるものと捉えたのだ。
そんな超能力マンガの草分け的存在の当作品だが、最大の見どころはずば抜けた頭脳戦である。超能力と言えば何でもできるイメージがあるが、各人に与えられたスタンドには非常に綿密な設定がなされており、殆どのスタンドは一つの能力しか持っていない。かつ、その能力は戦う場所や時間帯といった環境によって発揮するパワーが異なるため、いかに限られたスタンド能力と周辺にある物を活用して本来の能力以上のパワーを発揮させるか頭を巡らせて戦うのだ。まるでボードゲームのように、二手三手先を読むだけでなく本来のスタンド能力とは異なる使い方を考えて相手にダメージを与えるなど、熾烈な先手の読み合いは大変見物である。そんな場面展開はまさに頭脳戦であり、単なるバトルマンガに留まらない。しかし一度攻撃を始めれば少年漫画らしい熱い激闘が繰り広げられ読者のテンションもヒートアップするのだから、読者を惹きつける独特のストーリー構成は他では味わえない強烈な「癖」であることも特筆すべき点である。何より、絵柄や配色が非常に独特なことでも有名なマンガなので、好き嫌いは分かれると思うが一見の価値は十分にある一作である。