マリーベル

マリーベル

『マリーベル』は1978年から1980年にかけて『少女コミック』で連載された上原きみ子による少女漫画。単行本は全12巻。上原きみ子の代表作であり、フランス革命期のフランスを舞台に、主人公のマリーベルが演劇の道を歩む姿を描いている。マリーベルはフランス革命に参加した実在の人物ルイ・アントワーヌ・ド・サン=ジュストの生き別れの妹という設定。
執筆のきっかけは編集長からフランス革命を背景にした歴史小説『紅はこべ』を薦められたこと。『ベルサイユのばら』のファンであった上原は同じ時代を舞台にした漫画を描けることに感激したという。

daisukekunのレビュー・評価・感想

マリーベル
10

昔のマンガとは思えない

フランス革命の時代のマンガといえばベルサイユのばらが有名ですが、こちらはもっと自由に時代に切り込んだ作品です。
絵はおめめがキラキラの、よくある昔の少女マンガですが、なによりストーリーがすごい。史実とフィクション、様々な伏線がうまく絡んで、良い意味でたくさん裏切られます。フランス革命という歴史を縦軸に、女優をめざす主人公の青春や様々な男性との恋愛を横軸に、物語は怒濤の勢いで進んでいきます。特に好きなのは、主人公の「笑われることなんか、ひとつも怖くないわ!」というセリフ。女優を目指してひたむきに躍進していく主人公のまっすぐな姿に勇気づけられます。
他にも、おすすめなのは魅力的な男性陣。たくさんの男性と恋をし、また、恋されるのですが、その男性陣がすべて魅力的です。昔の少女マンガによくある、ロン毛だったり、異常にうっとおしそうな髪型だったり、服装はフリフリレースのついた貴族の服だったり、さらにはやっぱり全員キラキラのおめめなのですが、それでもめちゃくちゃカッコいい。その人の抱える闇や、人間性が巧みに描かれているので、そんな風貌でもめちゃくちゃかっこよく見えるのです。
昔の少女マンガと侮らないでください。主人公のまっすぐさにうたれ、男性陣に恋をし、止められない歴史の流れに涙し……あなたの心に残るマンガのひとつになるでしょう。