よりもい、それは忘れがたい青春の記憶
女子高生4人が南極へ行く物語。と書くと一体どこにドラマ性などがあるのか果たして謎ですが、実際は毎回のように涙腺崩壊ポイントがあり、リアルタイムで視聴していた当時はティッシュが手放せませんでした。自分のように鬱屈とした青春を送った人間でも、4人の次第に何かを成し遂げていく姿に、「これぞ青春だ」と胸が洗われるような思いでいっぱいでした。
主人公たち4人のキャラクター設定が、萌え系アニメにありがちなディフォルメされた女子ではなく、それぞれに重い何かを背負った人物像系であるところが、物語をぐっと引き締めているポイントだと感じます。報瀬は南極へ行こうという思いだけは誰にも負けないものの、母親を南極で失った心の傷と戦い続けていますし、日向は一回空気を読まなかったことで高校を退学するはめになってしまいますし、ゆずは生まれてこの方ボッチで、友情というものが何かよくわかっていません。そんな中で割とお気楽なのがキマリだと感じます。他のキャラクター設定が重い分、キマリの明るさや天然ボケっぷりが、物語をシリアス一辺倒へ偏らせなかった要因ではなかったでしょうか。
女子高生が南極へ行くという青春真っ最中の王道展開と、キャラクターの過去が奇跡のようなかみ合わせで合致し、傑作になった作品です。