ひねくれと共感の歌詞世界
私はクリープハイプが大好きだ。フロントマンの尾崎世界観の歪で繊細なハイトーンボイスと、切れ味鋭いギターサウンドが魅力のバンドである。
2012年にメジャーデビューを果たし、多くの映画やCMのタイアップを決め、また他のアーティストへの楽曲提供をするなど、今では音楽的にエンタメ界に求められている存在である。
最大の魅力は歌詞の世界観。小説執筆もしている尾崎世界観の歌詞は実に文学的で、歌詞カードを開いて初めて意味の分かるギミックが盛り込まれており、読み込むほど心に響くもの。世界を斜めに見ているようなひねくれさが心地よい。今までスポットが当たらなかった人たちを救う言葉に胸が締め付けられる。過去に表現されなかった世界観で描かれていることで、見事なまでの共感を煽ってくる。
デビューしてから癖の強さから敬遠されるバンドであったが、2018年のアルバム「泣きたくなるほど嬉しい日々に」をリリースしてから彼らの世界観が時代に追い付いてきて大ヒットを記録した。おすすめの曲は30歳という節目を迎える多くの人への応援ソングとして制作された「二十九、三十」。誰もが報われたいと思う気持ちをこんなに汲んでくれる歌詞に何度も救われました。2019年2月にはソフトバンクCMソング提供も発表。2019年の活動にも期待大。