十二人の死にたい子どもたち

十二人の死にたい子どもたち

『十二人の死にたい子どもたち』とは、冲方丁の長編ミステリー小説およびそれを原作としたメディアミックス作品である。集団自殺を目的に廃病院の一室に集まった初対面の少年少女。彼らを巡る密室劇が描かれる。2017年に漫画化され、2019年には実写映画化された。実写映画には、杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、橋本環奈など、有名な俳優が多数出演している。原作者の冲方丁は「自殺サイト」を知ったことをきっかけに、本作を執筆したという。また本作は、海外で過ごした冲方丁の少年時代の体験がもとになっている。

u_sukeのレビュー・評価・感想

十二人の死にたい子どもたち
6

14人目としてその場にいるような感覚

廃病院に集まる未成年たち。内密に計画された集団安楽死を計画した集い。…のはずだったが、なぜかそこには横たわった13人目の死体があり、疑心暗鬼に陥る12人が死体の謎を解き明かすために病院内を捜索するお話。

様々な癖ある作品を手掛けてきた堤幸彦監督、杉咲花や新田真剣佑、北村匠海など多くの若手俳優たちが出演していることで注目を集めている作品。
何よりこの映画の予告編で叫ばれる「殺さないで!」という言葉に衝撃を受けた。死にたいけど殺されたくはない。ベクトルの違う死に怯える思考はとても興味を惹く魅力です。
密室体験型サスペンス…と謳われてますが、蓋を開けてみると推理要素は薄く感じます。サスペンス映画を好んで観る人は序盤で違和感を感じると思います。「あれ?こんなに簡単に犯人分かっちゃうの?」と。予告編でイメージを膨らませた人は楽しめないかもしれません。「世にも奇妙な物語」のようなラストの衝撃を求めてしまう私のような人間には、とても残念なストーリーでした。
この映画はサスペンスというより死を求める12人の未成年たちがどのように交わり、それぞれがどのような行動を起こして13人目の死体が生まれたのか。そしてその謎が解き明かされる課程により、どのように考えが変わっていくのかを楽しむ人間ドラマ要素の方が実に強かったです。14人目としてその場にいるような感覚。「死にたい」という感情の誕生、そして消滅。死を知ることから生の大事さを知り活力へと見出す作品が最近増えてきましたね。この映画もその一種です。この映画を観て、生きてみようなんて思う人…。いるといいですね。