未来のミライ / Mirai

未来のミライ / Mirai

『未来のミライ』とは、スタジオ地図製作により2018年7月に公開された長編アニメーション映画である。監督は「時をかける少女」や「サマーウォーズ」を制作した細田守。
横浜の片隅で両親と暮らす「くんちゃん」は、「お兄ちゃん」になったばかり。妹が生まれてから両親は自分の要求を叶えてくれなくなり、ついにくんちゃんは「赤ちゃん返り」をしてしまう。「赤ちゃん好きくない!」を連発して駄々をこねるくんちゃんは、家の中庭から不思議な時間旅行をすることになる。そこで出会ったのは未来の妹だった。

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未来のミライ / Mirai
7

大人向けの心温まるアニメ映画

男女、父母、夫婦、兄弟姉妹といった様々な立場で「あるある」と思える場面がたくさんあって、多くの人が共感できる内容になっていると思います。メインテーマとなっている、かわいいはずの兄弟姉妹への嫉妬。男女の子どもに対する関心の違い、昨今よく言われる「育メン」の実態。大人になってわかる、小さい頃の思い違いなどが、ストーリーの中に自然に散りばめられています。そして実際には、大きな事件が起きるわけではない、というところも、穏やかな気持ちで見られるポイントだと思います。些細なきっかけを通して、巻き起こる事件や冒険はあくまで主人公「くんちゃん」の頭の中の世界。日常生活を描いているだけなのに、間延びしないストーリー運びになっています。ただ子供の妄想は時として恐ろしいので、子どもが見たら怖いと思ってしまうシーンもあるかと思います。また、大人だから共感できるポイントが多いので、子供向けというより大人向けのアニメだと思います。ただ子どもが見たときには、きっと大人とは違う見方をすると思うので、怖い映像がダメでないお子さんだったら、一緒に見て後で感想を話し合ってみると面白いのではないかと思いました。また、その中に登場する未来の「ミライちゃん」が中学生くらいの年齢というのももう一つのポイントだと思っています。ここでミライちゃんが完全な大人だと、もう少し教訓めいた発言をしてしまいそうなのですが、大人と子供の中間くらいの年齢だから、子どものくんちゃんに寄り添いながら、くんちゃんを成長させる存在として機能しているのだと思います。そしてやはり、さすが新海誠監督のアニメだけあって、絵がとてもきれいです。宣伝でも使われている東京駅のシーンはやはり圧巻でした。忠実に再現されていて、これを見るだけでも価値がある映画だと思います。マイナス点をあげるとすれば、「君の名は」ほどのダイナミックなストーリー展開はないので、物足りないと感じる人はいるかもしれません。大感動したり、わくわくしたりするというよりも、ほのぼのと温かな気持ちになれる映画です。