鍵泥棒のメソッド

鍵泥棒のメソッド

『鍵泥棒のメソッド』とは、2012年に公開された日本映画で、監督と脚本は内田けんじ。仕事も無くうだつの上がらない生活をしていた桜井武史は、たまたま入った銭湯で身なりの良い山崎信一郎と入れ替わることに成功する。しかし山崎は裏の仕事を請け負う便利屋であることがわかる。桜井は記憶をなくした山崎や結婚相手を探す真面目な雑誌編集者の水嶋香苗を巻き込み、危険な仕事へと足を踏み入れていってしまう。この物語は人生の進路を見失った大人たちが、次第に生きる希望を見つけていくヒューマンコメディとなっている。

voice0215のレビュー・評価・感想

鍵泥棒のメソッド
10

予測できない娯楽作品

堺雅人さん演じる35歳で役者志望の自殺まで失敗するダメ男と、香川照之さん演じる見るからに勝ち組のゴンドウという男が、入れかわる設定です。香川さんが記憶をなくす前後で、こんなにも人が変わるのかという面白さがあります。努力によって、人の信望を集め、役者として成功しようとしていくゴンドウをつい、応援したくなります。
殺し屋というぶっそうでスリリングなサスペンスを含んだ背景も、どきどきさせますが、誰も死なず、爽快感さえ残る作品です。ゴンドウは几帳面で、部屋もとても素敵です。贅沢な家具や見せる収納は、憧れる部屋です。こんな部屋に住みたいなと思います。ヒロインの広末涼子さんがとても美しく個性豊かです。これまでの役柄と違い、天然な女性を演じています。「私、結婚することにしました。」という唐突なセリフも、彼女のキュートさを倍増させています。婚活や二人の男とのコメディタッチのからみもからんできて、観ている人の予想をどんどんかわしていくリズムとテンポのある展開は見事です。
伏線が随所にちりばめられており、「そういえば」と記憶をたどっているうちに、「えっつ!」と、次の事案が起きているので、ぼっとしている暇がありません。