ブラック・ジャックのすばらしさについて
作品としてはかなり古いものであるが、当時の社会的背景のもとで、天才外科医であるブラック・ジャックの活躍が描かれている。彼は天才的な技術と引き換えに、高額な手術代金を要求するのだが、その法外な料金の裏に、「命の重さ」についてどのようなものかを考えさせるようになっている。
また、彼が手術に失敗することも描かれていて、主人公ながら万能ではない、というところに一種の親近感を抱けたりもする。生き方としては非常にアウトローで、とても褒められたことではないが、作中の奇跡的な手術シーンを見ると、人は肩書やステータスですべてが決まるわけではないのだと、生き方についても考えさせられる。
彼を取り巻くキャラクターたちも、愛らしかったり、憎らしかったり、どうしようもない悪人だったり。そんな個性的な面々と、クールなのに時に人情に篤かったり、情熱的だったり、皮肉屋だったりする主人公との掛け合いがとても楽しいのである。医学を目指す人もそうでない人も、一度はこのカッコいい天才外科医の生きざまを見ておくことをおススメする。漫画なので突拍子もない、架空のもの(病気)もたくさん登場するが、いかにスマートに自分の腕を振るい解決していくかが見ものだし、命とはいったい何なのかを考えるきっかけとなれる漫画だ。