完成度の高い近未来SF刑事モノ
サイコパスは何度見ても楽しめる良質のSF作品だ。
主人公たちはカッコイイビジュアルで描かれた近未来の刑事たち。
彼らは「犯罪者」ではなく「犯罪を犯す可能性のある人物」を取り締まっている。
物語の舞台となる未来社会では、人間が犯罪を犯す可能性がリアルタイムで数値化され、この数値が一定数を超えると、捕まったり、処刑されてしまう。
未然に犯罪を防ぐという点では効率的なシステムに思えるが、多くの矛盾も抱えており、刑事たちはこのシステムのはざまで葛藤し、苦悩する。
主人公の常守あかねは、学生時代に優秀な成績を収めたエリートだ。物語はそんな彼女が危険な現場に到着するところからはじまる。平和な学生生活を終え、今までとはまったく違う危険な世界にやって来た新米刑事。彼女は信じられない現場の光景に戸惑った挙句、いきなりある事をやらかしてしまう。
これが導入部分となる第一話。出だしから絶好調で、私はすぐに物語に引き込まれてしまった。
脇役も魅力的だ。彼らはみんな、ひとクセもふたクセもある連中ばかり。
もう一人の主人公と言ってもよい狡噛(こうがみ)は、知性と肉体の両方をあわせもった頼りになる人物で、主人公の常守は彼に対して、当初は苦手意識を持ちつつも、徐々に惹かれていく事となる。
個人的に一番のお気に入りは、ベテランの征陸(まさおか)刑事だ。
彼の発する言葉からは、ベテラン刑事らしいアドバイスと同時に、時代に取り残されている古い刑事の寂しさも時々感じさせる。彼らの行動やセリフ回しは物語にリアリティと奥深さを与えている。
背景のビジュアルも美麗で、サイバーパンクSFの雰囲気を見事に伝えているように思う。SF好きならきっとワクワクするだろう。
褒めてばかりだが、音楽も素晴らしい。オープイニング曲とエンディング曲は、両方ともキラーチューンと言える名曲だ。一方、BGMも物語にマッチしており、作品全体をさらに盛り上げる事に成功している。
ストーリーとプロットも、最初から最後まで練りこまれている印象だ。
SF的な驚きよりは割と少ないのだが、人間ドラマが丁寧に作られておりとても好印象だ。
また、刑事物としても非常に完成度が高く、最初から最後まで次が気にって仕方がなかった。
良い作品は何度見ても面白い。私は思わず、3回も見てしまった。
驚くことに、見るたびに新しい発見があり、ディテールの細かさに唸らされた。
サイバーパンク、ディストピア社会、刑事モノといった言葉に少しでも魅力を感じるなら、ぜひおススメしたい作品だ。