『ヒト』と『魔人』の間に生まれるモノ
2005年から2009年にかけて、集英社より発刊されている週刊少年ジャンプにて掲載された少年漫画である。アニメ化やゲーム化もされ、コアな人気を得た少年漫画であるのだが、かなり異質な作品であった。
松井は元々ボボボーボ・ボーボボの作者である澤井啓夫のアシスタントをしていただけあって、勢いのあるギャグもこの作品の特徴のひとつだ。
作者である松井優征が1巻のコメントで述べている通り、ジャンルとしては『推理物の皮を被った単純娯楽漫画』が適切だろう。
しかしながら、読者としては単純娯楽では終わらない。しっかりと考えさせられるギミックが随所にちりばめられているのである。
主人公である桂木弥子は、物語冒頭においてはネウロに脅されるような形で傀儡役を請け負うのだが、作品が進むにつれ、様々な人間、そして様々な犯人と出会う。そのなかで弥子は自分自身の手・頭で考えるようになる。
ネウロがギミックやトリックを解き明かし、弥子は犯人たちの中身を解き明かす。
一見バランスの悪い主従関係のようにも見えるふたりから見出す絆は、下手したらヒトとヒトよりも強固なものになっている。
けれどもふたりはそれを言葉にしない。する必要がないからだ。
では、どうして読者はそこに絆を見出すのか。それを知りたくなったあなたは、ぜひこの作品を手にとって欲しい。