キングダム / KINGDOM

『キングダム』とは、原泰久よる日本の漫画作品。『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて2006年9号より連載されている。
戦争孤児である主人公の信(しん)が亡き親友の漂(ひょう)と約束した天下の大将軍になるまでの成り上がりを描いた内容である。秦始皇帝である嬴政(えいせい)をはじめとして作中の登場人物には実際に存在していた者もおり、ストーリーも一部史実に基づいているところが特徴である。
また2012年より放映がスタートしたTVアニメ放送を記念し行われた企画「ソーシャルキングダム」(「キングダム」26巻の全コマから各ユーザーに1コマを選んで模写してもらい、1000人で26巻を描き上げるという内容)では有名漫画家である荒木飛呂彦、尾田栄一郎、岸本斉史、本宮ひろ志ら含め1087人という史上最多人数で描き上げたマンガとして、世界記録達成が認められた。
2019年には映画化され山﨑賢人、吉沢亮、長澤まさみらが演じており興行収入は57.3億円を突破し、同年公開の邦画実写作品でNo. 1を獲得している。2022年7月には続編の映画が公開される。

ginのレビュー・評価・感想

キングダム / KINGDOM
10

信の成長に心が震える!命を懸けた絆と夢の物語

『キングダム』は、戦乱の世を生き抜く人々の"命の重さ"と"信念"が痛烈に伝わってくる作品です。読み進めるほど、ただの戦争物語ではなく、一人の少年がどのようにして仲間と共に戦い、夢を追いかけるのか、その姿が胸に響きます。個人的にこの作品に出会ったのは、友人に「これ、絶対ハマるから読んでみて」と勧められたのがきっかけでした。最初は戦争物だし難しそうだな…と思っていたのですが、数話読んだだけで信の熱さにやられました。ここからはもう止まりませんでした。

主人公・信は元々、ただの下僕。ですが、彼は「天下の大将軍になる」という大きな夢を抱き、まっすぐ戦場へ飛び込んでいきます。序盤は無謀とも言える彼の姿に、笑ってしまう部分もありましたが、戦いの中で出会った王騎将軍とのエピソードを境に、信の成長が一気に加速します。王騎が信に残した言葉と、その壮絶な最期。これは読んでいるこちらの心にもズシンと響きました。王騎はただの偉大な将軍ではなく、"信に未来を託す者"として、信にとっても読者にとっても忘れられないキャラクターです。

そして、龐煖(ほうけん)との死闘。これがまた凄まじい。龐煖はまさに「武神」としての圧倒的な力を見せつける存在で、彼に挑む信の姿は震えるほど格好良かったです。特に、信が仲間や戦場で得た経験をフルに活かし、全てを賭けて龐煖を打ち破るシーンは、もうページをめくる手が止まりませんでした。ここまで来ると、彼が"ただの少年"ではなく、"将軍としての器"を持つ男に成長したことを実感せざるを得ません。龐煖を倒した瞬間、信が新たなステージに進んだのがはっきりと伝わってきて、何とも言えない感動を覚えました。

また、信と秦王・政との関係も見逃せません。彼らの絆は、ただの主従関係を超えた「信じ合う者同士」の深い絆です。特に、政が過去の苦難を語るシーン。彼が幼い頃に人質として過ごした時間、そこから「中華統一」という夢を追う理由。これがまた胸を打ちます。信と政、二人が互いに支え合いながら進む姿は、彼らの友情とも呼べる関係が垣間見え、思わず「頑張れ!」と心から応援してしまいます。

ただし、『キングダム』は物語が進むにつれて、新たなキャラクターや勢力が増えていくため、情報量が多くなり少し混乱する部分もあるかもしれません。でも、それこそがこの作品の奥深さ。登場人物がそれぞれに抱える信念や夢、過去が緻密に描かれているので、読み返すたびに新たな発見があり、その分キャラクターへの愛着が増していくはずです。

『キングダム』は、戦いの壮絶さだけでなく、仲間との絆や夢に向かって突き進む姿が描かれた心震える物語です。信が「天下の大将軍」を目指す道のりを一緒に歩むことで、自分も何かに挑戦したくなる、そんなパワーをもらえる作品だと心から感じています。歴史漫画が好きな方も、感動的な人間ドラマを求める方も、ぜひ一度手に取ってみてください。読めばきっと、信と共に熱い気持ちを抱くことができるでしょう。