考察必須の難解作品
『ボーはおそれている』は2023年に公開された、アリ・アスター監督、ホアキン・フェニックス主演のホラー映画です。
【あらすじ】
主人公のボーはアパートの一室で一人暮らしをしていました。
ある日、母親に会いに行くために飛行機を予約していましたが、家の鍵とカバンを盗まれる等、様々な不可解な出来事により飛行機に間に合わなくなってしまいます。
母親に電話しますが、母親は状況を聞くと呆れたように電話を切ります。
その後も不可解な現象は続き、ボーは家を他人に占拠されてしまい、外で寝ることになってしまいます。
翌日、家に戻って母親に電話をかけると男性が電話にでます。男性は配達員で、母親が目の前でシャンデリアの下敷きになり、死亡していると告げます。
ボーはその場で動けなくなり、どのくらいか時間が経った頃、浴室に向かい風呂に入っていると、天井に見知らぬ男性が張り付いていて…。
果たして、ボーは母親の葬式に行くことが出来るのでしょうか?
【レビュー】
本作は過去2回視聴しましたが、非常に難しい作品でした。本作を視聴するには、本編を一度見て仮説を立て、2回目3回目と考察を練り上げていく必要があると感じました。
まず、あらすじで説明した冒頭部分から、意味のわからない描写や展開が続きます。ボーの住んでいる街は、道端で人が襲われていたり、交差点に死体が放置してあったりと、とにかく危険な街です。
しかし、それらは説明されるわけでもなく、本筋に関わってくるわけでもありません。
冒頭部分からラストまで、常に、「今何を見せられているのか?」を考えながら視聴しなくてはならないため、「考察するのが大好き!」という人は楽しめるのではないでしょうか。様々な説がありますが、全て納得できるような説はありませんでしたので、自分なりの解釈を楽しめると思います。
また、主演のホアキン・フェニックスの演技が素晴らしかったです。強いストレスを感じていそうななんとも言えない表情、オドオドした雰囲気や口調を演じるのが、ほんとに上手い役者さんだなと思いました。
『ジョーカー』の時とはまた違う「ヤバさ」を感じさせてくれました。
アリ・アスター監督の作品は『ミッドサマー』『ヘレディタリー/継承』を視聴したことがありますが、その中でもぶっちぎりで訳わからなかったです。
ジワジワした怖さや、陰湿な雰囲気を本作でも存分に味あわせてくれました。