「十二国記」〜どこかに実在するのでは?と信じてしまうリアルなファンタジー世界〜
「十二国記」は、小説家・小野不由美さんの代表作のひとつで、2002年にアニメ化されました。私たちの世界と隣り合わせで存在する中華風のファンタジー世界。そこに現代日本から迷い込んでしまった「陽子」という少女の成長物語です。
言葉も通じない異世界に、体ひとつで投げ出された陽子は、悪人にだまされてひどい目に合ったり、逆に人々の温情にふれて心を開いたりしながら、霊獣「麒麟」に選ばれた王によって統治される国で力強く生きていきます。
最終的に陽子は王となって、十二の王国のうちのひとつの国を統治することになります。
運命に翻弄され、さんざん文句を言って悩む陽子や、陽子を助けてくれるネズミの姿をした獣、そして陽子を王に選んだ麒麟など、感情移入できそうな登場人物がたくさん出てきます。生きている人々すべてにリアリティがあり、今日も遠いどこかで、陽子たちが奮闘している息吹を感じることができます。
原作は1991年から続いている壮大な物語で、アニメ版はその中の二つのエピソードを軸に展開していきますが、原作と異なる設定になっている部分がありました。終わってみれば納得できる設定変更でしたが、原作の展開が好きだったため、マイナス1点で評価を9としました。