是枝裕和監督作品 海街diaryの繊細な描写
日本が誇る映画監督の一人である是枝裕和監督の海街diaryは、非常に繊細な映画である。内容はさることながら、細部にわたる演出までも凝っているのである。さらに台詞回しも非常に優れている。この映画を通して、映像に写り込んでいない存在、故人だけでなく、その場に居合わせていない人を考えさせられる。
綾瀬はるか演じる香田幸が、妹たちが家から出かけるときに走ると危ないよというような内容の気遣いを口にするシーンがある。これはのちに香田幸と娘たちを置いて出て行った母親の口癖であったことがわかる。さらに香田幸が恋をする男性は、精神病の妻を持っているのである。守らなくてはいけない妻がある身である男性を愛してしまうのは、自分たちを捨てて新しい女性のところに行ってしまった父親の面影を、その男性の中に見つけてしまったのだろう。このように登場人物たちは様々な人の面影を映し出す。
この映画は広瀬すずのデビュー作でもある。是枝裕和監督は広瀬すずに台本を渡さずに撮影をしたという。音楽は菅野よう子が担当していて、映画の雰囲気の土台のような存在になっている。さらにこの映画では四季が存分に描かれており、鎌倉という綺麗な街を四季折々の美しさで楽しむこともできる。