海街diary / Umimachi Diary / Our Little Sister

『海街diary』とは、2006年8月号から2018年8月号まで『月刊フラワーズ』(小学館)に不定期連載された、吉田秋生による青春漫画である。コミックスは全9巻が刊行され、2015年時点で累計発行部数は280万部を超えた。
物語は異母姉妹4人の成長と絆を、神奈川県鎌倉市を舞台に生き生きと描いている。
本作品は「第11回文化庁メディア芸術祭」マンガ部門で優秀賞、「マンガ大賞2013」大賞、「第61回小学館漫画賞」で一般向け部門を受賞した。
実写映画は「第68回カンヌ国際映画祭」コンペディション部門に出品され2015年5月14日に上映された。監督は是枝裕和で、四姉妹を綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが演じた。日本では同年6月13日に公開され、週末2日間で観客動員ランキング第2位にランクインした。「第39回日本アカデミー賞」では最優秀作品賞を受賞し、この作品で広瀬すずはこの年の新人賞を総なめした。

goma_96のレビュー・評価・感想

海街diary / Umimachi Diary / Our Little Sister
10

是枝裕和監督作品 海街diaryの繊細な描写

日本が誇る映画監督の一人である是枝裕和監督の海街diaryは、非常に繊細な映画である。内容はさることながら、細部にわたる演出までも凝っているのである。さらに台詞回しも非常に優れている。この映画を通して、映像に写り込んでいない存在、故人だけでなく、その場に居合わせていない人を考えさせられる。
綾瀬はるか演じる香田幸が、妹たちが家から出かけるときに走ると危ないよというような内容の気遣いを口にするシーンがある。これはのちに香田幸と娘たちを置いて出て行った母親の口癖であったことがわかる。さらに香田幸が恋をする男性は、精神病の妻を持っているのである。守らなくてはいけない妻がある身である男性を愛してしまうのは、自分たちを捨てて新しい女性のところに行ってしまった父親の面影を、その男性の中に見つけてしまったのだろう。このように登場人物たちは様々な人の面影を映し出す。
この映画は広瀬すずのデビュー作でもある。是枝裕和監督は広瀬すずに台本を渡さずに撮影をしたという。音楽は菅野よう子が担当していて、映画の雰囲気の土台のような存在になっている。さらにこの映画では四季が存分に描かれており、鎌倉という綺麗な街を四季折々の美しさで楽しむこともできる。