メンタル低い時に元気が出る作品
とにかくゆるゆるで(あまりのゆるさに周りからつっこみをうけまくるほど)面倒な事や争いが大嫌いな主人公の麻倉葉(シャーマン修行中)にまず共感できて気楽に読みだせます。中学1年にして許嫁が居るけどこの許嫁のアンナが凄く怖く、シャーマンキングになって楽をさせてもらう為ビシバシ修行させ冷血な言葉を連続で浴びせてきます。
でもそれは中盤で語られる2人の小学生時の出会いの番外編で納得いきました。シャーマン能力と言う特異な能力を持った為に対人関係で苦労し友達が居なかった麻倉葉と人の心を読める為人を憎むようになったアンナ。麻倉葉があんなに頑ななアンナの心を徐々に溶かしていく過程はじんわり来ます。またこの番外編で初登場した麻倉葉の初めての1000年以上生きた猫の持ち霊マタムネ。マタムネは宿敵ハオのかつての持ち霊で過去にハオを倒し心を分かってあげられなかった負い目もあり麻倉葉を助言しますが、マタムネの飄々としつつも大事な所はびしっと決めるキャラ性と麻倉葉とのやりとりが堪りません。個人的名台詞は「大切な事は心で決めなさい」…迷った時に心に浮かぶセリフです。
他にも数々のタイプのシャーマンや持ち霊キャラが登場しシャーマンキングを決める為に多くの戦いを経ていきますが、完全版の最終巻の母親を失い母親を探し続けて人も憎み続けてきたハオを、今迄関わってきたキャラ全員が全力で助けた末に最後に漸く母との再会。これを見た瞬間武井先生本当にじんわりする最終回をどうもありがとうと心底思いました。
30巻越えの長期連載の中中だるみな所は若干あるもののメンタルな名台詞が数多くあり、作者特有のギャグも満載でシリアスとギャグバランスのいい名作品です。残念な点は過酷作業の為か最終回前のはっきりとした絵の劣化ですが、完全版描き下ろし部分は絵がとても綺麗です。