大人こそ読むべき少年漫画の金字塔
物語は、エドワードとアルフォンス兄弟が、亡き母を蘇らせるために禁断の錬金術を行った結果、代償として失った体を取り戻すための旅を描いている。
彼らは「賢者の石」を求め、道中の様々な試練に立ち向かっていく。
というファンタジーアクション漫画の王道の設定である本書だが、倫理、友情、犠牲をテーマにした作中に散りばめられる、それぞれのキャラクターの心理描写、葛藤こそ「少年」だけでなく「大人」にすすめたい魅力なのである。
ユーモアに富んだセリフ回しに、次のページが気になり手が止まらないストーリー構成。王道漫画として楽しんでいると、時折顔を出す答えが出せないようなダークな哲学的描写。
主人公兄弟の精神的成長も相まって、現代社会で日々精神をすり減らしている大人がドキリとさせられる、忘れてしまった「あの頃」の輝きを思い出させる本作。
もちろん、1つの「マンガ」として最終話まで衰えることのないストーリー展開、バトル描写の爽快感に、これでもかというぐらいの伏線回収による圧倒的読後感は、エンタメとして自信を持って保証する。
原作を元にしたアニメ、映画といった2次作品も国際的評価を得るほどにクオリティ高いものに仕上がっており、画面の中で動くキャラクターたちもぜひチェックしてみて欲しい。
日々の繰り返しに疲れた「大人」であるあなたにこそ、手にとって欲しい1冊である。