鋼の錬金術師 / ハガレン / Fullmetal Alchemist

『鋼の錬金術師』とは、月間少年ガンガンで2001年~2010年まで連載された荒川弘による漫画作品。少年誌にて掲載された作品だが、老若男女問わずに人気を博し、連載終了後も多くのファンに指示されている。
主人公はエドワード・エルリック(15歳)アメストリス人で小柄な長髪の金髪少年。
国家錬金術師の資格を有し、12歳で資格を得たことから天才と称され、右腕・左足の義肢から”鋼の錬金術師”の通り名を持つ。
弟のアルフォンス・エルリック(14歳)は、兄のエルリックとともに、亡くなった母親を人体錬成により生き返らせようとした代償として、肉体のすべてを心理の扉によって奪われる。
兄のエルリックが、その際右腕を対価として、鎧にアルフォンスの精神を定着させる。
以降アルフォンスは年をとることも眠ることもできない鎧の身体となる。
エルリック兄弟が、元の身体に戻る手段を探しもとめ、国家錬金術師の仕事をしながら旅をする物語となっている。
旅をしていく中で、敵であるホムンクルスに遭遇し、アメストリスの建国の歴史や錬金術の成り立ち、アメストリス軍の闇にも迫っていく。壮大な内容かつ、コメディ要素もありながら、戦争や人の欲や人の命の在り方を考えさせられる内容になっている。
累計発行部数は8000万部。アニメ化・映画化もされ2017年に実写映画化もされたシリーズは2022年に完結。

shu4220のレビュー・評価・感想

鋼の錬金術師 / ハガレン / Fullmetal Alchemist
9

大人こそ読むべき少年漫画の金字塔

物語は、エドワードとアルフォンス兄弟が、亡き母を蘇らせるために禁断の錬金術を行った結果、代償として失った体を取り戻すための旅を描いている。
彼らは「賢者の石」を求め、道中の様々な試練に立ち向かっていく。
というファンタジーアクション漫画の王道の設定である本書だが、倫理、友情、犠牲をテーマにした作中に散りばめられる、それぞれのキャラクターの心理描写、葛藤こそ「少年」だけでなく「大人」にすすめたい魅力なのである。

ユーモアに富んだセリフ回しに、次のページが気になり手が止まらないストーリー構成。王道漫画として楽しんでいると、時折顔を出す答えが出せないようなダークな哲学的描写。
主人公兄弟の精神的成長も相まって、現代社会で日々精神をすり減らしている大人がドキリとさせられる、忘れてしまった「あの頃」の輝きを思い出させる本作。
もちろん、1つの「マンガ」として最終話まで衰えることのないストーリー展開、バトル描写の爽快感に、これでもかというぐらいの伏線回収による圧倒的読後感は、エンタメとして自信を持って保証する。
原作を元にしたアニメ、映画といった2次作品も国際的評価を得るほどにクオリティ高いものに仕上がっており、画面の中で動くキャラクターたちもぜひチェックしてみて欲しい。

日々の繰り返しに疲れた「大人」であるあなたにこそ、手にとって欲しい1冊である。