アニメ版進撃の巨人について
原作の漫画版「進撃の巨人」を読んだことはないが、アニメは一期から見続けているので、この作品の良さはよく分かる。まず、その設定がオリジナルで斬新だ。
巨人の跋扈する世界観は、平穏な日常が常に死と隣り合わせであることを示している。実際に第一話もそういう日常の崩壊から始まるわけだが、これは是非作品を観てほしい。
多少グロテスクなシーンはあるものの、それがむしろ巨人自体の恐怖を視聴者に喚起させ、これがただのアニメーションではないことを教えてくれる。緊張感という意味では「テラフォーマーズ」に近いものがあるので、好きな人は一見の価値あり。
ただ、三期に入り、どうもストーリーがだれているように感じる。物語の核心に触れるため過去の描写に終始しているというのは分かるのだが、あくまでこれは「進撃の巨人」であり、巨人と人間との命を賭した戦いが魅力である。ストーリーの進行上仕方ないとはいえ、巨人成分がいささか足りないとは感じた。
しかしそれも、裏を返せば物語転換前の下ごしらえみたいなもので、巨人との手に汗握る死闘は今後待ち受けているだろうから、その意味では楽しみでもある。それでも個人的に、物語自体の掘り下げ期間(これももちろん必要不可欠なことなんだけれども)が少し長いようには感じた。