決して”鬱”では片づけられない
『魔法少女まどか☆マギカ』といえば、3話の「マミる」展開など、虚淵玄が脚本を務めた鬱展開が刺さる作品として有名だ。しかしまどマギには、決して単なる「鬱」では表現できない魅力が数多く存在する。
『魔法少女まどか☆マギカ』はキュウべぇと契約し、1つの願いを叶えることと引き換えに魔法少女としての運命を背負うことになった少女たちの生きざまを扱った作品。蒼樹うめ先生の可愛らしい絵柄からは想像できない重めの内容である。希望を叶え、人々を魔女という災厄から守る誇りを持って戦う少女たち。我々視聴者も、最初はよくある正義のストーリーかと思いがちである。しかし実際に描かれるのは魔法少女になった少女たちの葛藤や対立、希望、そして絶望である。
魔法少女ものにダークなイメージを見事に植え付けたまどマギ。その世界は放送から時間が空いても色あせることは無く、放送からおよそ3年後の2014年には劇場版『新編 叛逆の物語』が放映され、2024年の冬には映画『ワルプルギスの廻天』の放映も決定している。
魔法少女たちが織り成す重厚なまどマギストーリー。それは単に鬱などではなく、もっと深く気高いものなのだ。私は絵柄があまり好きではなく、最初は割と敬遠していた。しかしとりあえず見て、ストーリーが進むにつれ、全く何も気にならなくなった。それどころか今はあの絵柄が世界で一番好きになってしまった。
まどマギは、重く、儚く、美しい話なのだ。