自分がどう生きるべきかを問いかけてくれるアーティスト
「うんこ」という曲にも代表されるように、森山直太朗は人間を唄うアーティストです。J-popシーンで活躍するほとんどのアーティストがラブソングを中心に楽曲を発表し続ける中、彼が唄うのは人間の心。移り変わる時代や置かれた環境下で、自分はどう生きるべきかを、彼の曲は常に問いかけてくれます。例えば冒頭で触れた「うんこ」という楽曲では、自分の体から出たものを嫌悪することに対する人間の矛盾を唄っていますし、「群青」という楽曲では、知識を与えてくれるAIアシスタントに今の気分を問いかけ、人生の答えの在処を唄っています。
また、歌詞に当てがう言葉も非常に美しく、その繊細な言葉遣いが表現に更なる深みを与えています。例えば、彼の最も有名な楽曲「さくら」では、〝惜別の時〟という歌詞が出てきます。〝惜別〟はその言葉通り「別れが惜しい」という意味ですが、ただ「別れが惜しい」と伝えるよりも、言葉に想いの深さや強さを感じることができます。一般的に使われる言葉より一回りも二回りも趣きある言葉を当てがうことで、より深い感情を味わえる表現となっています。更には、歌唱力でもその他のアーティストから抜きん出ており、彼の歌唱映像にさまざまな外国人YouTuberが激しいリアクションを重ねて動画を出しております。作詞作曲の表現力のみならず、歌唱の表現力も群を抜いているアーティスト、森山直太朗の楽曲に少しでも触れてくださると幸いです。