本当に正義の味方?憎めないダークヒーローの活躍を描いた漫画
この漫画は世の中に蔓延る悪魔を狩るデビルハンターの物語です。
主人公の「デンジ」は身寄りのない貧乏な青年。ヤクザに格安で雇われて悪魔を狩る仕事をしています。
貧しい生活を続ける中、犬のような見た目をした悪魔「ポチタ」と出会い、共に悪魔を狩りながら家族のように過ごしていきます。
しかし、ある時悪魔にそそのかされたヤクザに嵌められデンジは死んでしまいます。ポチタは「自分の心臓を使って」と心臓を授け、デンジは復活。
復活したデンジはすぐに異変に気付きます。自分の胸部からポチタの尻尾が出ているのです。
ポチタの尻尾はレバーとなっており、それを引っ張ることで頭部がチェンソーに変身しました。頭部のチェンソーを使い、悪魔化し自分を陥れたヤクザ達を一網打尽にします。
その光景は血みどろで勧善懲悪ヒーロー物の少年漫画とはかけ離れています。
力を使い切ったデンジは現場に駆け付けた「公安」に保護され、「マキマ」という女性の下、悪魔を狩ることに。マキマの指示で公安の先輩である「アキ」と人間並みの知能を備えた悪魔「パワー」と一緒に仕事をすることになります。
ヤクザの下で悪魔を狩っていた頃にはご飯を食べることができるかどうかくらい貧乏な生活を送っていましたが、公安に勤めることで衣食住が保証され、デンジは幸せを感じるようになります。
他の少年漫画によくある、「人々の安心を守る為に」とか「大切な人を守るために」とか「大きな野望を叶えるため」というような戦う為の目標みたいなものはデンジには一切ありません。
デンジの悪魔を狩る理由はただひとつ、生活の為です。美味しいご飯が食べられて、ぐっすり眠れる寝どころがあればその為に働く。これは現代に生きる多くの人が共感できる点かと思います。
大きな野望が無くても今の自分の地位を守る為、もしくは少しでも状況を好転させようとする為に学校での立ち位置を確保したり会社で働いたりする。
今自分が居る場所で、持っているもので何とか状況を良くしようと必死にもがく。
なんとかして毎日の暮らしをやり過ごしていこうと頑張っている方に共感できる漫画だと思います。王道バトルマンガに飽きたなと言う方に是非お勧めしたい作品です。