新世紀エヴァンゲリオン / Neon Genesis EVANGELION

新世紀エヴァンゲリオン / Neon Genesis EVANGELION

『新世紀エヴァンゲリオン』(略称:エヴァ)とは、GAINAXによる日本のテレビアニメ作品である。
ある日、主人公の「碇シンジ」がその父親に招集されるところからスタートする。そしてロボットに乗って「使徒と戦え。でなければ、帰れ。」という使命を、父親である「碇ゲンドウ」から伝えられる。
使徒とは強大かつ絶大な力を持つ未確認生命体であり、人類の敵である。
その対抗策として、人類が造りだした汎用ヒト型決戦兵器を「エヴァンゲリオン」と呼ぶ。
シンジは神経接続を介してエヴァを操縦し、使徒と戦う。
彼にとっては、父親に認められることが全てではあるが、ゲンドウが総司令官として戦う真意は、人類を守るところでも、父親としての気丈でもないとされている。
「もうすぐ会えるな、***。」
この真意を覗いたとき、シンジは狂気とエゴに踊らされていたことに気づく。
エヴァとは、1990年代の第三次アニメブームのきっかけとされる作品で、その影響力は社会現象レベルであった。
制作委員会方式を独自に採用した最初のアニメでもある。ここでの成功を得て、後続の深夜アニメが多く世に出され、21世紀以降における「アニメ文化」の基礎を築いた。
なお、テレビアニメ版、漫画版、旧劇場版、新劇場版の四作品シリーズには、多少の内容的相違が見られる。
そして、この物語全般には監督である庵野秀明の人生観が大きく寄与している。極めて斬新な内容を多く秘めている。

akihabarau3のレビュー・評価・感想

新世紀エヴァンゲリオン / Neon Genesis EVANGELION
10

『新世紀エヴァンゲリオン』はただのロボットアニメと思うことなかれ

『新世紀エヴァンゲリオン(Neon Genesis Evangelion)』は、1995年に放送開始された日本のアニメで、その後のアニメ業界に多大な影響を与えました。庵野秀明監督によるこの作品は、ロボットアニメの枠を超え、深い心理描写と哲学的テーマが盛り込まれています。

14歳の少年・碇シンジが巨大な人型兵器エヴァンゲリオンのパイロットとして、人類を脅かす「使徒」と戦う物語です。しかし、単なるロボット対怪獣の戦闘アニメではありません。物語はシンジの心の葛藤や、彼の周囲の人々との複雑な人間関係を深く掘り下げていきます。

シンジは父親である碇ゲンドウからの愛情を求める一方で、彼に操縦を強いられるという矛盾に苦しみます。シンジの内面世界は、視聴者にとっても共感できる部分が多く、誰しもが1度は感じたことのある孤独や自己嫌悪、他者との接触の難しさがリアルに描かれています。

また、主要キャラクターである綾波レイや惣流・アスカ・ラングレーも非常に個性的で、多面的なキャラクターとして描かれています。レイは謎めいた存在でありながら、その正体が物語の核心に大きく関わってきます。アスカは一見強気で自信満々ですが、内面には深いトラウマと不安を抱えています。

物語が進むにつれて、エヴァンゲリオンの世界観は次第に複雑になり、理解するのが難しくなります。特に、終盤の「人類補完計画」が明らかになるエピソード群は、視聴者にとって非常に衝撃的です。この計画は、人類全体をひとつの存在に融合させるというものであり、シンジを中心とした心理的な探求も同時に描かれます。

最終回の第25話、第26話は特に異色で、シンジの内面世界を抽象的に描いたものです。この結末には賛否両論があり、多くの視聴者が理解に苦しむ一方で、その深遠なテーマに感銘を受ける人も少なくありません。

エヴァンゲリオンは、その後も劇場版や新劇場版として続編が制作され、物語の補完や新たな解釈が加えられました。特に『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は、25年にわたるシリーズの総決算として、多くのファンに感動と納得をもたらしました。

結論として、新世紀エヴァンゲリオンは単なるエンターテイメントではなく、視聴者に深い思索を促す作品です。心理学、哲学、宗教といった多様なテーマが絡み合い、見るたびに新たな発見があります。評価を9とした理由は、その深遠さと独自性、そして視聴者に強い印象を残す力にあります。唯一の欠点を挙げるとすれば、その複雑さゆえに全てを理解するのが難しいことですが、それもまたこの作品の魅力の一部と言えるでしょう。