「世界一やさしい拷問」は伊達じゃない
マンガアプリ『ジャンプ+』で連載されている作品で、2023年にはアニメ化もされました。
王国軍と魔王軍の戦いが激化する中、王女にして国王軍第三騎士団団長の姫様が魔王軍に捕らえられてしまいます。
最高位拷問官トーチャー・トルチュールにより、姫様は過酷な拷問にかけられます。
最初の拷問は、なんと焼きたてのトースト。ふわふわのトーストにとろとろのバター。その最強の組み合わせにより、姫様は魔王軍に屈し、秘密を話してしまうのです。
このように、この作品の「拷問」はどれも苛烈極まりなく、過酷なものばかりで、姫様だけでなく読者も屈してしまうものばかりです。
拷問内容もバラエティに富んでおり、深夜のラーメン、熱々の小籠包、注ぎたてのビールといったグルメ系だけでなく、動物の赤ちゃん、深夜の散歩、整うサウナに頑張る幼児など、手を変え品を変え姫様と読者を苦しめます。
また、拷問官のキャラクターも様々で、クール系美女のトーチャーを始め、抱擁系巨女ジャイアント(通称ママ)や陰鬼、陽鬼の双子美少女、魔王の娘マオマオちゃんにツンデレヴァンパイアのヴァニラなどが、それぞれの得意分野で姫様と読者を追い詰めます。
また、諸悪の根源である魔王の存在も重要です。おそらく賃貸のマンションに妻と子と3人で暮らしており、毎朝保育園バスへの送り迎えも欠かしません。姫様の話す秘密への要求も高く「国宝を盗んだからかわいそう」「その日は祝日だから無理」など常に厳しい判断を下します。魔王が納得する秘密を手に入れるまで、姫様への拷問は続きます。
また、魔王軍は労働基準法を遵守し福利厚生が手厚いホワイト企業。労務が機能しており時間外労働や休日管理にも厳しいです。もちろん、捕虜である姫様にも適用されており、姫様は週休二日で苛烈な拷問を受けています。
そんな苛烈な拷問を支えるのが、姫様の愛剣エクスです。聖剣であるエクスは意志を持って話すことができ、姫様が拷問に屈しそうになるたびに「姫様は王女にして国王軍第三騎士団“騎士団長”この程度の仕打ちに決して屈しない!」「なんで?」「耐えて! 耐えて姫様!」「姫様?」「姫様−−−−−!!」など、その切れ味を彷彿させるような鋭いツッコミを欠かしません。エクス自体が拷問を受ける回もあり、彼の矜持が感じられます。
このように毎回苛烈な拷問が繰り広げられる作品であるため、読むには相当な覚悟が必要かと思います。深夜や空腹時は避け、拷問に屈することを想定して近所にコンビニの有無やデリバリーサービスの利用の可否などを確認したうえで読むことをお勧めします。また、寂しい時、つらい時、気分が落ち込んだ時などに読むことも推奨されます。