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これぞ現代版人生賛歌
過去の凄惨な経験から離島に移住したヒロインが虐待を受けた少年を保護し、自らの過去と向き合いながら彼と今を生きていくまでを描いた作品です。
本作はLGBTや児童虐待、ヤングケアラーなど多種多様な現代社会の問題を取り扱っております。私が感心したのはそれだけの情報量をしっかりまとめ、全ての事象に必然性を持たせていた点です。
作品中、キャラクターに感じた言動や仕草の違和感もしっかり回収されていますし、なぜこのキャスティングになったのかと、細かい部分までこだわり抜かれた至極の一作でした。
特筆すべきは、主演の杉咲花さんの演技力です。感情の機微が非常に上手く表現されていて、鑑賞中常に感情移入を誘う演技でした。まさに文字通り、憑依型女優と彼女の事を賞賛したく思います。
また前述の通り、多種多様な問題を取り扱う作品とあって、観た人によってどの部分が一番感情移入できるかという点も別れてるのではないかと推測します。
私は何より、彼女に辛いことが起こっていたとしても、きっと誰かが助けてくれると実感しているシーン、そして彼女自身が誰かを助けることを決意したシーンがグッときました。
ラストに流れるSaucy Dogの主題歌も作品を彩ります。心の叫びを優しいメロディが包んでくれる一曲になっているのでこちらも是非必聴です。
長くなりましたが、私の中では邦画ナンバーワン作品でした!