なぜ映画化してしまったのか…
2003年に連続ドラマとして放送され、翌年には特別編を経て2シーズン目も放送された『DR.コトー診療所』。離島医療に励む1人の医師の過去と島民との触れ合いをベースに、命の尊さとはかなさ、自然の美しさとその葛藤などを描く大人気ドラマでした。
私自身ドラマにドハマりして、何度も涙しながら見ていたのですが、この映画化はしない方が良かったと思ってしまいます。
まず、コトー先生が白血病であることが分かったにも関わらず、島民の医療問題を気にして本島でも治療に向かわないという点にリアリティがないのです。「その展開はドラマ的に盛り上げるためには必要なのかな?」と思っていましたが、その後も、島を襲った嵐によって心肺停止状態の末期がん患者が運ばれてくると「こんなふうに死なせたくない!」と心停止後も永遠に心臓マッサージ。他にもけが人は沢山いるのに。更には、病気が悪化したコトー先生はこの時点で1度倒れてしまうにもかかわらず、服用役を真面目に飲んでいなかった老婆の心臓の手術を行います。
全く現実味がなく、とりあえず思い浮かぶトラブルを全部乗せして、それでも乗り越えちゃう先生凄いよねという感じに見えてしまったのです。「アベンジャーズか何かを見ているのか?」と思わせられるほどの超人ぶりでした。
ドラマであれだけ丁寧に人間の人生を描いていた作品とは思えません。唯一、この作品を見てよかったと思えたのは、キンプリの高橋海人さんの演技力に高さに気付けたことくらいです。
思い出深かったドラマすら霞んでしまう程の駄作だったと思います。