烏は主を選ばない

烏は主を選ばない

『烏は主を選ばない』とは、阿部智里の和風ファンタジー小説「八咫烏(やたがらす)シリーズ」の2作目、およびそれを原作とする漫画、テレビアニメ作品である。人の姿をした八咫烏が支配する世界「山内(やまうち)」を舞台に、次代の后選びがきっかけで巻き起こる事件や陰謀を、緻密な世界観の元に描き出しているのが魅力。2012年に原作の小説本が発売されたのに続き、2018年に漫画家・松崎夏未によりコミカライズされ「コミックDAYS」での連載がスタートした。2024年にはNHKでテレビアニメ化されている。

aaa3のレビュー・評価・感想

烏は主を選ばない
10

2024年春アニメ一番の面白さ

人が烏に変身できると言う設定、まるで平安時代のような世界観、NHK総合で土曜の深夜に放送という存在感の無さ。全てにおいて、2024年春に放送された他のアニメの華々しさに比べたら地味で仕方ない。でもでもぜひぜひ見て欲しい!ストーリーの作り込みの丁寧さ・巧みさは稀に見る出来。原作がものすごく良く出来ているからこその完成度の高さを感じられる。
絵面が一昔前の少女漫画の様ではあるけれど、世界観によくマッチしていて、CGを駆使した見せ方も上手。むしろ華々しさだけをウリにして、ストーリーが雑なアニメの多くなった昨今、地味でもコツコツとした真面目な作り手の心意気を感じる。突飛な設定に面食らうかもしれないが、描かれているのは昔から人間社会に頻発してきた憎悪とか権力争いとか、醜さ、悲しさ、人間の本質である。
音楽もこんな上流階級のしとやかな世界なのに、ギャンギャンエレキギターを掻き鳴らすロックのOP。この曲を合わせた製作陣のセンスに脱帽である。どれほど善良でしとやかに見えても、人の内面なんてものは、欲や悪意がギャンギャン掻き鳴らされてる渦なんだ、と気付かされるのだ。
かつて『千と千尋の神隠し』でハクを演じた入野自由さん、色気のあるハスキーボイスの田村睦心さん、他、皆さん静かでありながら内に炎を秘めた演技をされていて感動する。
毎回毎回、次回はどうなるんだろう?!と楽しみになるアニメだ。