未来と人間の境界を描く感動SF「A.I.」
あなたは、人間と人工知能の違いについて考えたことがありますか?
昨今、我々人類に対して急速に浸透しているインターネットやAIの影響で、私自身も自分で考えたものと、Googleにサジェストされ誘導されたものに心を動かされていることが混在しているし、それに気づいてさえいないことも多いです。(笑)
スティーブン・スピルバーグ監督による2001年公開のこの『A.I.』という作品は、人工知能側が人間に対して愛を抱き、憧れる。
現代よりももっと未来で巻き起こる、現代との対比で描かれた、切なくも愛おしい感動SF大作です。
スピルバーグ監督は、この重く難しいテーマで脳みそが頭と脳がパンパンになった私たちに対して、未来都市や廃墟となったニューヨークの描写を美しく表現し、視覚的にも観る人に強烈な印象を与えます。
舞台は近未来、人間とロボットが共存する世界。デイビッド(演:ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、親に愛されることをプログラムされたアンドロイドで、人間の子供としての感情を持つように設計されています。
彼は『ピノキオ』に出てくるブルーフェアリーを信じ、本物の人間になるための旅に出ますが、その旅を通じて自分が何者かを見つけながら、人間"性"とは何かついて学んでいきます。
デイビッドが人間の親子から見捨てられ、真の愛を求めてさまよう姿が終始暗い雰囲気で描かれますが、
旅の途中で出会う愛を売るセックス・ロボット、ジゴロ・ジョー(演:ジュード・ロウ)の存在がエッセンスとなり、ロボットと人間が愛し合える可能性を無常にも感じさせられます。
スピルバーグはクライマックスで、デイビッドの望んだ「人間としての1日」を仕掛けてきますが、彼の純粋な愛と無垢な願いは、ラストで観る人の心を深くえぐってきます。
この映画は複雑で流動的なストーリーとは裏腹に、一貫したテーマは「母親への無償の愛」。
これはどの時代の少年誰もが持ち得る本能的な感情です。
デイビッドの旅を通して、私たちはテクノロジーが進化する未来において、人間らしさや愛とは何かについて再考し、我々人間はどう愛を持って行動すべきか考える機会を突きつけてくる一作となっています。