再底辺から成り上がる英雄譚
・チート能力をもらって楽々異世界生活
・協力的な仲間との旅
・明確な敵がいる勧善懲悪なお話
・サクサク進むレベル上げ
「盾の勇者の成り上がり」では、それら一切の「異世界あるある」をすべて否定したところから物語が始まります。
物語は主人公、岩谷尚文が異世界に災厄「波」から世界を救う勇者の1人として転移しますが、開始わずか数話で裏切りにより最底辺へと落ちぶれます。防具なし、金なし、残ったものは攻撃もできず、外すこともできない「盾」のみ。この時点で物語として嫌悪感を覚える方もいるかもしれませんが、タイトルにある「成り上がり」というワードの通りここから尚文は成り上がっていきます。
ここでポイントとなってくるのは、レベルアップや成長ではなく「成り上がり」。盾しかない尚文は攻撃手段として子供の獣人奴隷ラフタリアを仲間として迎えます。人間不信となった尚文と幼く、臆病なラフタリアが旅を共にする中で盾の勇者としての在り方を見つけていきます。そして旅路の中で出会う人々との交流、波での戦闘を乗り越え、堕ちた信頼を回復させていきます。
勇者として、人間として最底辺に落とされた尚文がそこから成り上がっていく様は、これまでの裏切りによる不快感を吹き飛ばす痛快なものとなっています。
「意外性のあるストーリー」、「悪を吹き飛ばす痛快劇」、「知略をめぐらす主人公が好き」という方には、「盾の勇者の成り上がり」をお勧めします。