自分以外の誰かが少しでも寄り添ってくれる事がいかに大事か
パニック障害に悩む男性と酷いPMSに悩む女性が、同じ職場でお互いの悩みに理解をし合いながら日常をおくる話。
この映画のいいところは、2人が恋愛関係に至らないところである。だいたいこの手の話は悩みや障害のある2人がお互いに理解をし合い、次第に惹かれていき恋に落ちるパターンが多いのだが、この作品は違う。
パニック障害やPMSは自分でコントロールする事が難しい病気であり、人に迷惑をかけることが前提の為、コントロールできない自分に対して落ち込んだり精神的に追い込んでしまう事がある。
だがこの2人はお互いを「症状は違えど精神的不調に対する良き理解者」として、お互いの症状について考え、理解をし、解決策を見出そうとする。
ここで恋仲が始まってしまうといかにも「映画」になってしまいしらけてしまうのだが、お互いの距離感がとてつもなくリアルで、演じる俳優さん達の演技も本当に自然。まさにそこで起きている事を同じ目線で見ているようなそんな気持ちにさせてくれた。
私も女性でPMSの経験があり、尚且つパニック障害も経験した身なので、とてつもなく感情移入してしまった。
つらい。けど外見に傷があるわけでも、骨が折れているわけでも、血が出ているわけでもない。周りからは気が付かれることもないし、中々理解もされ辛い。
無意識のうちにイライラしたり、不安な事を考えてしまい過呼吸になる。なんでこんな事も出来ないんだ、自分は迷惑な存在なんだ。
自分を追い込んだ先に、こんなにも自分の症状を理解して寄り添ってくれる人がいたら、もっと楽になるのが早かった事だろう。主人公の2人が映画が進むにつれ、些細な事でも出来るようになった時の表情の変化や視点の変化が、鑑賞後の私の背中を押してくれた。