若き伯爵と悪魔な執事が英国で起こる様々な事件に挑む
『黒執事』は、漫画家・枢やなが世に送り出したダーク・ファンタジー漫画だ。
物語の舞台となるのは、19世紀末の英国。主人公の少年シエルは、英国裏社会の秩序を守る特殊な貴族・ファントムハイヴ家の伯爵だ。シエルに付き従うのは、彼が死の淵で召喚した悪魔。その悪魔はセバスチャン・ミカエリスという名前を与えられ、ファントムハイヴ家の執事として活動している。
シエルがセバスチャンを召喚したのは、家族を殺し自分に屈辱を与えた者たちを見つけ出し復讐するため。黒幕を見つけるべく、シエルとセバスチャンは英国内で起こる様々な事件に関わり、真相を暴いていく。
『黒執事』の魅力は、英国に関係する実際に起こった事件・事故、有名な物語、実在した人物などを下敷きとしたエピソードが多く描かれている点だ。
例えば、シエルとセバスチャンが「ジャック・ザ・リッパー」と呼ばれる連続通り魔を追うエピソードがあったり、ニューヨーク行きの豪華客船が氷山にぶつかって沈没するエピソードがあったりする。豪華客船のエピソードが「タイタニック号沈没事故」から着想を得ていることは明らかだろう。有名なモチーフがどのようにアレンジされているのか、ぜひ確認してほしい。
本作はシエルとセバスチャンの主従関係、シエルの復讐の行方というオリジナルストーリーを楽しみながら、英国に関する知識を楽しく取り入れることができる作品だ。