黒執事 / Black Butler

『黒執事』とは、2006年10月号から『月刊Gファンタジー』(スクウェア・エニックス)で連載を開始した、枢やなによるダーク・ファンタジー漫画である。本作は19世紀末のイギリスを舞台にしたミステリーやオカルト、アクションの要素が強く、作者は「いわゆるパラレルワールド的な世界」と語った。コミックスは32巻刊行され、2021年時点で累計発行部数は3,000万部を超えた。
物語は英国裏社会の秩序を守る「女王の番犬」として任務にあたる12歳のシエル・ファントムハイヴが、悪魔で執事のセバスチャン・ミカエリスと契約し、汚れ仕事をしながら自らの復讐を果たそうとする姿を描いている。
本作は「第54回小学館漫画賞」の少年漫画部門にノミネートされた。また2010年に「ジャパン・エキスポ・アワード」で最優秀少年漫画部門、2011年にはドイツの「Animagic」でBest International Manga賞を受賞。
2007年と2008年にドラマCDが発売され、テレビアニメは2008年に第1期、2010年に第2期、2014年に第3期が放送された。実写映画も制作され、2014年1月18日に公開された。映画は作者の承認のもとオリジナルストーリーになっており、セバスチャン・ミカエリス役を水嶋ヒロ、シエル・ファントムハイヴ役を剛力彩芽が演じた。

NAOKI315t7のレビュー・評価・感想

黒執事 / Black Butler
9

若き伯爵と悪魔な執事が英国で起こる様々な事件に挑む

『黒執事』は、漫画家・枢やなが世に送り出したダーク・ファンタジー漫画だ。
物語の舞台となるのは、19世紀末の英国。主人公の少年シエルは、英国裏社会の秩序を守る特殊な貴族・ファントムハイヴ家の伯爵だ。シエルに付き従うのは、彼が死の淵で召喚した悪魔。その悪魔はセバスチャン・ミカエリスという名前を与えられ、ファントムハイヴ家の執事として活動している。
シエルがセバスチャンを召喚したのは、家族を殺し自分に屈辱を与えた者たちを見つけ出し復讐するため。黒幕を見つけるべく、シエルとセバスチャンは英国内で起こる様々な事件に関わり、真相を暴いていく。

『黒執事』の魅力は、英国に関係する実際に起こった事件・事故、有名な物語、実在した人物などを下敷きとしたエピソードが多く描かれている点だ。
例えば、シエルとセバスチャンが「ジャック・ザ・リッパー」と呼ばれる連続通り魔を追うエピソードがあったり、ニューヨーク行きの豪華客船が氷山にぶつかって沈没するエピソードがあったりする。豪華客船のエピソードが「タイタニック号沈没事故」から着想を得ていることは明らかだろう。有名なモチーフがどのようにアレンジされているのか、ぜひ確認してほしい。
本作はシエルとセバスチャンの主従関係、シエルの復讐の行方というオリジナルストーリーを楽しみながら、英国に関する知識を楽しく取り入れることができる作品だ。