早くプロに金庫の処分を頼まないから…12期第1話「開けなければ大丈夫」
主人公の青年と不動産屋の中年男性が、いわくつきで家賃が安いアパートの一室に内見に来ます。部屋の押し入れの中に絶対に開けてはいけない巨大な金庫がガムテープで封じられています。不動産屋が言うには、その部屋の住人が頻繁に入れ変わるうえに、金庫を開けてしまったらどうなるのかは不明だけれど「開けなければ大丈夫」とのこと。なぜに早急に除霊のプロ等に処分を頼まないのか。心霊現象で問題が起きているなら客に物件を紹介するな、元住人の家族に訴えられても知らないぞと、書き手は問題を放置する不動産屋にツッコミが止まりませんでした。それでも主人公はその部屋に住むことを決めます。
案の定、すぐさま部屋の幽霊たちが主人公に「金庫を開けて」と話しかけてきます。部屋の中で幽霊を見ない日はなく、主人公は「開けなければ大丈夫」という不動産屋の言葉通りではないがゆえに、怒りを強く感じます。幽霊を恐れる気持ちは無く、「またかよ」と呟くだけの精神の強さを書き手は賞賛しました。それから数日が経って幽霊たちが現れなくなったある日、主人公は金庫を開けてしまいます。しかし金庫の中は空でした。主人公はなんで何も入ってないんだよ、俺はルールを破ったんだから何か起これよと変な方向に焦りだします。そして主人公は、自分が金庫の中に入ります。金庫を開けたせいで自分が金庫の中の怪異になったと思い込んで、新しい住人が金庫を開けるか否か、心持ちにしながら。
主人公は、一体いつから狂ってしまったのでしょうか。幽霊たちを恐れなかった時から、無自覚のうちに仲間になってしまった、だから自分が怪異になったと思い込んだのではないでしょうか。書き手は、それ見たことか、事故物件を封鎖しないで客に売るからまた犠牲者が出たぞと、無責任な不動産屋を叱りつけたくなりました。