二月の勝者-絶対合格の教室-

『二月の勝者-絶対合格の教室-』とは、2018年1号から『週刊ビックコミックスピリッツ』(小学館)で連載された、高瀬志帆による受験漫画である。コミックスは16巻刊行され、2022年9月の時点で累計発行部数は300万部を超えた。
物語はシビアな中学受験に挑む小学生やその親、講師陣たちの姿が描かれている。実在する学習塾や模擬試験、受験校などが名前を変えて登場するため、読者には現実感がある。講師の黒木蔵人(くろきくろうど)が受験の極意や戦略を生々しく語ることから、過酷な受験戦争がリアルに表現されている。
本作は2022年に「第67回小学館漫画賞」の一般向け部門を受賞した。また、2021年と2022年にノベライズの『小説 二月の勝者-絶対合格の教室-』が刊行された。小説は原作とは異なり、子供たち目線で書かれている。テレビドラマは2021年10月から12月まで放送され、黒木蔵人役を柳楽優弥、佐倉麻依(さくらまい)役を井上真央が演じた。ドラマは森永製菓と朝日新聞とのコラボ企画が実施された。

comarockf3のレビュー・評価・感想

二月の勝者-絶対合格の教室-
10

中学受験経験者には刺さりまくります…!

中学受験経験者です。ドラマ版を視聴し、原作もリアルタイムで追いかけるようになりました。
数ある作品の中でもかなりリアリティの強い作品だと思います。漫画の世界だからちょっと都合よくしてしまおう…的な展開は、この作品にはこれまでほぼないと言っていいと思います。

この作品の見どころやすごい所は本当にたくさんあるのですが、全体を通して思うのは「誰ひとりとしてモブキャラが存在しない!」という部分だと思います。
学園・塾モノは成績上位者の難関校への挑戦や、最底辺の成績の子が下克上的に成績が上がっていく、というような展開が多いですが、この作品はミドルな中間層の子達のこともじっくりと描いています。

・明らかに中間層なのに親が激推しするレベルの高い理想の学校を狙わされる子
・そもそもどこへ向かって勉強しているのかわからない子
・勉強しても勉強しても成績の上がらない子
・成績が上がらないばかりに周りの子を邪魔する子

他にもいろいろありますが、ミドルな子達ほど中学受験で問題を抱えやすいのかもしれない…と非常に思いました。

もちろんミドルな子達ばかりがそうというわけではなく、成績上位の子でも家庭が荒れていたり、常に自分の中で葛藤して自分と戦い続けていたり、なんでも出来てしまうがゆえに自分に伸びしろを感じなかったり。受験戦争を勝ち抜こうとする、小学生たちの気持ちや努力がふんだんに詰め込まれた作品になっています。