見返す度に違う目線でストーリー展開を楽しめます。
争いを題材に描かれた作品です。
憎しみの憎悪は簡単に断ち切れるものではなく、争いは繰り返される。しかし、人々はみんな幸せや平和を願い求める。
主人公のエレンも、初めは敵である巨人に母親を目の前で食い殺されたことによる復讐心から、世の中の巨人を全て駆逐してやると誓いをたてます。
目の前にいる敵は巨人だけだったはずがそれはすべて序章に過ぎず、本当の敵は塀の外の人類達、塀の中の味方と思っていた人間たちでした。組織ぐるみの隠ぺいや内部抗争など、次から次に思いもよらないようなことが起こり、結末に驚きがとまりません。
エレンを家族として大切だと思っていたミカサの心境の変化や、成長していくに連れて変わってくるそれぞれの価値観や、仲間たちの思いや考え方。
この作品が本当にすごい所は伏線が無数に張り巡らされていて、それを回収していく伏線回収のテンポの良さと、謎解きをしているような感覚になるほど伏線回収が完璧なところです。
アニメでは表現されていなかったのですが、単行本の漫画では1巻が「いってらっしゃいエレン」から始まります。その伏線を、10年以上時が経った最終話で回収しているのには驚きました。
気付かない伏線回収も沢山あったので、4回以上見返しました。第1話目の「二千年後の君へ」というタイトルの物語は、352話の「二千年前の君から」で伏線回収されています。
エレンは最後まで仲間の幸せを願っていたのです。それが全世界の人類の不幸の上に成り立つ幸せだったとしても、エレンが望んだのは自分の身近な仲間たちの幸せだけだったのです。
最終話でミカサは選択を迫られます。一番大切だと思っているかけがえのない人、エレンの命か、全人類の命か。全てはミカサの判断に委ねられる事となります。最終回は涙がとまりませんでした。