忘却バッテリー

忘却バッテリー

『忘却バッテリー』とは、みかわ絵子による日本の漫画作品である。『少年ジャンプ+』にて2018年より連載を開始した。
舞台は野球部のない都立の小手指高校。ところがそこには中学野球界を騒がせた天才バッテリー、清峰葉流火(きよみねはるか)と要圭(かなめけい)がいた。天才と呼ばれたこの2人が野球部のない学校に進学した理由は、要の記憶喪失。そんな彼らバッテリーと中学時代に因縁があった者達が偶然集まり、ゼロから野球部を発足し甲子園を目指す青春と笑いに満ちた野球漫画である。
野球の中心ともいえるキャッチャーの要が記憶喪失で野球初心者に戻ってしまったという異色の設定ながら、ハイテンションなギャグの含まれたコミカルなシーンも多い。そして個性的なチームメイトや他校の選手、甲子園を目指す選手やその周囲の人物たちがそれぞれ抱える葛藤など、シリアスかつスポーツの持つ影の部分も描かれている。
ジャンプスペシャルアニメフェスタ2020にてオリジナルアニメが公開された。

ru0305ak2のレビュー・評価・感想

忘却バッテリー
9

野球好きには物足りなさもあるが、ストーリー性◎、タイトルの伏線回収が秀逸

アニメ化をきっかけに興味を持ち、アプリで初回無料のため読んでみました。
「忘却」とあるように主人公が野球のことを知らないというスタンスのため、初心者向けの解説が交えられ、野球の知識がなくても十分楽しめる。一方野球好き、スポ根を求めて読むとやや物足りなさを感じるかも。一試合1巻分くらいのボリューム。

技術だけではなく、メンタル面の成長が描かれているのが魅力的。天才ゆえにややトントン拍子に展開してしまう部分もあるが、ごり押しではなく、いわゆる漫画的な展開だけでなく根拠のある展開で違和感なく読むことができる。
また、高校球児らしく3年間というタイムリミットを強く意識させられるシーンには、毎度胸が熱くなる。スポーツ経験者には何か思い出すような経験があるのではないかと思う。

単純な記憶喪失モノではなく、喪失というよりは蓋をして閉じ込めてしまったバッテリーの双方の過去が、その経緯や人間性が繊細に表現されている。ギャグ調の明るい作品化と思いきや、精神の深い部分の闇が描かれていて、ゾクッとさせられる。

ギャグとシリアスの配分も絶妙。展開にマンネリ感もなく、試合シーン含め本筋も出し惜しむことなく描かれるため、一気に読み進めてしまいました。