ダンジョン飯 / Delicious in Dungeon

ダンジョン飯 / Delicious in Dungeon

『ダンジョン飯』とは、年10刊漫画誌「ハルタ」(KADOKAWA)にて2014年2月から2023年9月に連載されていた、九井諒子原作の長編連載作品である。古典的ファンタジーな世界観をもつ作中のダンジョンに登場する魔物を、現実にある方法で料理し食す、グルメ&アドベンチャー漫画となっている。作中で作られた料理にはレシピが記載され、これにより作者の持ち味である、架空と現実が融合した世界観が存分に発揮されている。

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ダンジョン飯 / Delicious in Dungeon
8

読んだら飯が食いたくなる!『ダンジョン飯』レビュー

ファンタジー漫画の裏側で描かれる「飯テロ漫画」です。普段意識することのない、冒険者たちの食生活にスポットを当てた作品『ダンジョン飯』。読み進めるうちに、次第にその魅力に惹き込まれていきます。食への愛着と異文化との融合を感じさせる傑作といえるでしょう。

■ファンタジー世界を題材にした飯テロ漫画
『ダンジョン飯』は、いわゆる「飯テロ」と呼ばれる作品です。物語の舞台はファンタジーの世界ですが、主人公たちが旅先で出会う様々な食材や料理に注目が置かれています。
モンスター肉を使った珍しい料理など、読んでいるだけでつい食べてみたくなるような、魅力ある料理の数々が登場します。
一見シンプルな設定ながら、普段意識することのない部分にスポットライトが当てられた点がユニークです。食に対する愛着や情熱が行間から滲み出ており、飯テロの枠を超えた傑作と言えるのではないでしょうか。

■キャラクターベスト3
1. マルシル
マルシルはハーフエルフの魔法使いですが、一般的な魔法使いとは異なる特殊な魔法を使います。
例えば熱した武器で攻撃する、湖に油を巻いて火をつけるなど、状況に応じた創造的な魔法を使います。『ダンジョン飯』の世界においてマルシルは偏食であり、野菜やキノコ、魚が苦手であり、食事のシーンでさまざまな表情を見せてくれます。
2. センシ
センシはパーティ内で特に料理の腕前が高く、様々なモンスターを料理しています。使われている食材はもちろん架空のものですが、とてもおいしそうな料理ばかりです。
ちなみに、アニメ化に際しては料理のシーンにこだわりが見られ、温度感や香りまでも伝わるよう工夫されているそうです。
戦闘においては冷静沈着であることが多く、襲い掛かってくるモンスターを冷静に観察して討伐します。
最終的には料理としてモンスターを食べてしまいます。
3.チルチャック
チルチャックは解錠や罠の解除などを担当する鍵士です。
パーティーの中では最もダンジョンに精通しており、危険性を理解しながらダンジョンの奥へと進んでいきます。初めて入る部屋の罠の有無を確認する際は荷物や靴を外し、肌感覚も使いながら危険性を確認するほどです。精神面ではパーティーの中の一番の常識人と言えます。

■作者の九井諒子さんってどんな人?
九井諒子先生は、現実とファンタジーが独特の感覚で交錯する作風の漫画家です。
主な経歴は以下の通りです:
同人作家としても活動し、同人誌即売会やpixivなどで作品を発表していた。
2011年に商業誌デビュー。同年、短編集『竜の学校は山の上』でデビュー。
2013年、短編『ひきだしにテラリウム』で第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。
2014年、長編連載『ダンジョン飯』を『ハルタ誌』で開始。2015年度コミックナタリー大賞など複数の賞を受賞。
『ダンジョン飯』は、モンスターを料理して食べるグルメファンタジー漫画として人気を博しました。九井先生の作品は、現実感のある描写と、コミカルでありながら生々しい人間関係が特徴です。

■読み始めると癖になる不思議なマンガ
『ダンジョン飯』は、最初は面白さがあまり感じられないかもしれません。ファンタジーの世界での料理という設定は退屈に映るでしょう。しかし読み進めるにつれ、次第にその魅力が現れてきます。
珍しい食材を使った料理の数々、キャラクターの掘り下げ、異世界との文化描写など、いくつもの要素が徐々に引き込んでいきます。気づけば中毒性があり、大ハマリしてしまうでしょう。退屈を通り越して、不思議な世界に惹き込まれてしまうのが醍醐味だと言えます。

■まとめ
アニメも放送されている『ダンジョン飯』は、読めば読むほどお腹がすいてくる飯テロ作品です。読み進めるうちにその魅力に惹き込まれていき、気づけばはまってしまうことでしょう。
珍しい食材や料理、個性的なキャラクター、そして作者の人柄まで楽しめる、見逃せない作品です。