効果音なんか要らない!画力で殴る!!
霊媒師の祖母を持つ、宇宙人を信じないイマドキ女子の綾瀬桃と、オカルト好きで幽霊を信じない根暗地味系男子の高倉健。
その2人がふとしたことで互いの信念をかけた勝負をすることになります。
勝負の内容は宇宙人を信じない桃がUFOスポットに、幽霊を信じない健が心霊スポットに単身乗り込み、互いに互いが信じるものが存在しないことを証明すること。結果、2人は互いが信じなかったものが存在することを、体感で理解させられてしまいます。
かたやセルポ星人を名乗る宇宙人に脳波を弄られたことで開花させられた超能力を、かたやターボババアという怪異に呪われたことによる変身能力を手に入れるというオマケ付きで。
襲撃者の追撃を一時的とはいえ振り切った2人は、人の名前を覚えるのが苦手な桃のために再度自己紹介をするのですが、そこで判明したのは桃の憧れの俳優と健が同姓同名だということ。照れが先走ってどうしても受け入れらない桃は、オカルト好きの健にオカルンという渾名を付け、それで呼ぶようになります。
オカルンはターボババアに呪われ、男性の象徴を奪われているので呪いによる変身をコントロールできません。桃の超能力でオカルンの呪いを抑えながら行動するのがやっとです。オカルンを呪いから解放するため、霊媒師である桃の祖母の力を借り、2人はターボババアに勝負を挑むのでした。
この作品の特筆すべきは、そのストーリー構成もさることながらなんと言っても圧倒的な画力。
特にアクションシーンの表現は圧巻です。細部に渡る書き込みも素晴らしいですが、効果線が文字通り効果的に使われており、画面の中で起きた衝撃がそのまま伝わってくるようです。
何より驚くのが、戦闘やそれに類するシーンでは他の漫画では一般的である効果音が、一切使われていないということです。それなのに爆発音も衝撃音も臨場感そのままに伝わってくる迫力があります。
オカルトでホラーでギャグでシリアスでアクションでラブコメ。
ジャンルごった煮なのに、その総てが高い次元で成立している魅力溢れる作品です。