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90年代の大ヒットサスペンス
『SE7EN』はおぞましい連続猟奇殺人事件と、その事件を追う刑事の老若コンビを描いたサイコ・サスペンスです。
タイトルに「Seven」とあるようにキリスト教の七つの大罪をモチーフにしていて、作中で描かれる猟奇殺人はいずれも筆舌に尽くしがたい残酷なものでした。拷問の様子が直接描写されることはなく、あくまで警察が発見した死体の状況と鑑識の結果で描かれるため、グロテスクながらもどこか芸術的な印象を持たせます。
一方、事件を追う2人は退職を控えたベテラン刑事と、大事件を前に意気込む新人刑事という王道コンビです。初めはスタンスの違いから衝突の多かった2人ですが、ベテラン刑事の教養が謎を紐解き、新人刑事の行動力が真実に繋がったことで次第に絆が深まっていきます。
しかし容疑者を捕まえても、事件は解決しません。七つの大罪のうち「嫉妬」と「憤怒」がまだ残っていたからです。そして、それは2人の刑事を標的にしたものでした。彼らが何を迫られ、どのような選択を取ったのかはぜひ実際に見て確かめてみてください。
ストーリー以外にも魅力的だったのは、外は雨が降り続く陰鬱な曇り空で、屋内も常に薄暗く閉塞的な画面作りをしていることです。実際にコントラストを強める手法で撮られていて、憂鬱なこの作品をいっそう重苦しいものにしています。