小学生にも分かりやすい格闘ギャグ漫画
作品の良かった点は、設定の面白さとシンプルで分かりやすいギャグが散りばめられている2点だ。
まずは設定の面白さ。
魔法を使えることが当たり前の世界で、ただ1人魔力が使えない主人公。
そんな彼が、筋力だけで魔法使いたちを次々とぶっ飛ばしていく、という設定が面白い。
重力魔法をかけられても驚異的な脚力で立ち上がり勝利するなど、筋力のみでピンチを切り抜けるようなパワープレーも数多く見られる。
しかし、ありえない程強い主人公のフィジカルは、時に爽快であり、シュールな面白さを誘ってくれる。
次にシンプルで分かりやすいギャグが散りばめられていること。
本作で見られるギャグは、シンプルで分かりやすいものが多数を占めている。主人公が、扉の押し戸と引き戸が分からず毎度毎度ぶち壊して開ける、強敵の顔を忘れてしまい、バトル中に「あなた誰でしたっけ?」とボケて相手を驚愕させるなど。
見たらパッと理解できるため、小学生が見ても分かりやすいものになっている。
作品の悪かった点は、ギャグの好みが分かれるという点と、一定程度の暴力要素を含む点だ。
ギャグの好みが分かれるについてだが、シンプルで分かりやすいギャグが多いため、特に大人が観る場合は、物足りなく感じる方もいるだろう。
ギャグのオチが容易に予想できてしまう場面も散見される。
また、一定程度の暴力要素を含むという点では、同じく週刊少年ジャンプの『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』と比較すると、血が噴出する、生首が吹っ飛ぶといったあからさまな残酷描写は控えめではある。
しかしあくまで「バトル漫画」なので、人体をナイフで何度も突き刺す、マウントを取って相手を殴り続けるといった暴力的なシーンは多く見られる。
その点には注意が必要だろう。
私は子供に積極的に見せたいとは思えなかった。
この作品は、魔法至上主義の世界で、凄まじい筋力だけを頼りに敵に立ち向かっていくという設定に惹かれる人、バトルギャグ漫画をあまり頭を使わず純粋に楽しみたい人にオススメ。
あくまでベースは、「バトル漫画」である。
『ドラゴンボール』や『ワンピース』といったバトル漫画がそもそも好きではない方は、楽しめない可能性が高いだろう。