ゴジラ(1954年の映画) / Godzilla (1954 film)

ゴジラ(1954年の映画) / Godzilla (1954 film)

『ゴジラ』は、本多猪四郎監督による1954年に公開された日本映画。巨大な怪獣である「ゴジラ」が登場する『ゴジラシリーズ』の第1作。音楽は伊福部昭。特殊技術は円谷英二。
何回の水爆実験で太古の大怪獣「ゴジラ」が目を覚まし、太平洋を北上した後に東京湾に上陸して暴れまわる。ゴジラによって銀座のデパートや国会議事堂、東京タワーも破壊され、張り巡らされた5万ボルトの高圧線の鉄塔も一気に引きちぎっていく。ゴジラによる放射能汚染は幼い子供たちにも及ぶが、科学者の芹沢はあらゆる生き物を窒息死させる「オキシジェン・デストロイヤー」を使用してゴジラを倒す決意をする。
本作は海外の特撮と異なり、ぬいぐるみとミニチュアのセットを駆使した円谷英二の特殊技術によって、特撮怪獣映画というジャンルを日本に確立させた。海外でもヒットしたことにより、日本映画の海外進出の可能性を更に拡大することにもなった。
ゴジラ映画は以降もシリーズとして連作されていくが、この初代ゴジラは当時問題になっていた水爆実験、特に第五福竜丸事件などの社会問題に対する批判映画としても名を残している。

19580113-mhのレビュー・評価・感想

ゴジラ(1954年の映画) / Godzilla (1954 film)
9

記念すべきゴジラ映画の1作目の作品

この映画の存在感は、何事かと思うほどのインパクトがありますね。

タイトルの最初ゴジラの重苦しい足跡が響いただけで、心の中に禍々しい災厄の予感を持ってしまいます。

続いてゴジラの咆哮を耳にしただけで、もう破壊と殲滅から逃れ得ないと覚悟してしまう程のリアリティーがあるんですね。

この映画の凄いところは、その圧倒的なリアリティーにあると思います。

俳優で言えば、志村喬の説得力に多くを負っていると感じましたが、この俳優の凄いのは、明らかなフィクション世界を、その佇まい1つで、現実世界に書き換えてしまうところにあるんですね。

しかし、それ以上に、この映画でリアリティーを生んでいるのは、全体に染み込んだ時代感にあるのではないかと思います。

これが撮影された1954年は、第二次世界大戦が終わって、10年を経ていない。
つまり、この映画の、ゴジラという破壊の化身に、右往左往する人々の姿は、そのまま、10年前の現実世界だったのだ。

映画には間違いなく時代感覚が、映り込むことがあるものです。
そして、しばしば傑作とは、監督の意図した事と、映り込んだ時代感がマッチした時に生まれるのだと思います。

この初代ゴジラの明らかな着グルミ感は、ビジュアル的にチープだと言わざるを得ません。
しかし、その「作り物感」以上に、禍々しく怪異で重厚な、魔物とも、神とも見える存在として、その威容にリアリティーを与えたのは、エキストラまで含め表現された、戦争の災禍の記憶が、ゴジラという存在に憑依したゆえだと感じましたね。