サバイバル×ジビエ×アイヌ×バトロワ!?『ゴールデンカムイ』の魅力とは
舞台は、日露戦争後の北海道。主人公の元軍人・杉本佐一は戦争で亡くなってしまった幼馴染の奥さんの治療費を稼ぐため、北海道で砂金をとっていた。
そんな中、ある男からアイヌが隠した金塊の話を聞くが、冬眠から目覚めたヒグマに襲われてしまう。
そこをアイヌの少女アシリパに助けられ、アシリパの父が金塊に深く関わり殺されていたことを耳にする。
杉本は金塊を、アシリパは父を殺した犯人を探すという利害が一致し、2人は旅に出る。
『ゴールデンカムイ』を“和風闇鍋ウエスタン”と言う方々が多くいますが、この表現には深く同意します。1巻だけ読むと結構硬派な作品となっています。
ですが、読み進めていくとギャグとシリアスが絶妙に組み合わさった作品であり、退屈しません。
物語の性質上、囚人たちの体に財宝の在りかが描かれているため、主人公や、狙う派閥は人の皮を集める為に囚人を探します。
そんな目的、アイヌの生活、サバイバルなどの殺伐とした中に圧倒的存在感のシュールなギャグが織り交ぜられている。それがこの作品の魅力だと思うのです。
キャラクターも魅力的で、ものすごい変態の囚人がポコポコ出てきます。この作品、登場人物はほとんど見事に「変人」なわけです。
主人公の杉本も見え方によっては、殺されそうになると躊躇なく相手を殺したりと、ネジが外れてたりします。
むさくるしい男たちの入浴シーンが丁寧に書かれすぎていたり、日常シーンも全く飽きが来なく予想外のギャグシーンが入ります。
そして作者のアイヌ文化への調査が徹底されており、勉強になるところもポイント。
このように要素が多すぎて、“和風闇鍋ウエスタン”という言葉がしっくりくる作品です。
私もこの闇鍋に魅了され、北海道に行きたくなってしまいました。皆さんもぜひ読んで闇鍋を味わってみてください。