名言「凡人はせめての精神」
女子高生と75歳の老婦人の友情物語という設定。漫画原作である。
夏の暑い日、市野井雪子(宮本信子)は夫の三回忌のあと、涼むために書店に立ち寄る。雪子はきれいな表紙の絵に引かれて1冊の漫画を手に取り、家に帰って読み始める。それはBL漫画だった。初めてふれるBLに心がときめく雪子。
書店でバイトをしている女子高生のうらら(芦田愛菜)は、学校のクラスにも馴染めず、どちらかというと陰キャで、オシャレにも無頓着。楽しみは自室でBLマンガを読むこと。それは誰にも言えない楽しみだった。
そんな雪子とうららが出会い、BLについて熱く深く語り合う。学校では笑顔が少ないうららが、雪子とは楽しそうに笑顔を見せる。最初はファミレスで会って話をするが、ひと目が気になるうらら。だからいつしか雪子の自宅の縁側でBLマンガを語り合うことになる。
そして、とうとう自分でマンガを作り出して販売しようとする展開に。
行動したことが誰かの心に触れ、そしてその人がまた行動を起こす。そんな映画だった。
うららの母がいう「せめての精神」が名言だった。せめてそこまでがんばる。凡人にはそこまでしかできない。その繰り返しなんだと。
同じクラスの英莉も実は留学のために努力を続けていた。その頑張りも誰かの心を動かす。
芦田愛菜がリュックを揺らしながら走る後ろ姿が、なんどか繰り返される。とても印象に残るシーンだが、その走る姿を見ているとポジティブになれる気がする。
自分もなにか行動を起こさなければと感じさせてくれる良作。