プロミシング・ヤング・ウーマン

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プロミシング・ヤング・ウーマン
7

『プロミシング・ヤング・ウーマン』の復讐物語

主人公のキャシーは、元医大生、前途有望な未来の約束された女性のはずだった。つまり、『プロミシング・ヤング・ウーマン』というタイトルになるわけだ。30歳を目前に控えた彼女は、医学部を中退し、カフェで働く平凡な日々を送っていた。しかし、夜になるとキャシーは、もうひとつの顔を見せる。キャシーを大学中退に、そして彼女の親友を死に追い込んだ、ある事件の復讐である。そこにあるのは、確かな性の気配だが、決して直接的な描写はされていない。それでも、キャシーの強い怒りの感情やその復讐心から、彼女の親友を死に追い込んだ事件が、どれほど苦しいものだったのかということを読み取れる。
1度は復讐から解放されるも、彼女の恋が、皮肉にもまたもや彼女を復讐に向かわせることになってしまう。ハッピーエンドとは言い難い。キャシーは、ずっとたったひとりで闘っていたのかもしれない。自らの命を賭して、自分自身が危険にさらされると分かっていても、それでもどうしようもなく貫くべきことを持っていた。この映画で描かれているものは、紛れもなく復讐なのだけれど、それでもこれは親友の死に対して、彼女だけができるひとつの弔いだったのかもしれない。