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BiSHが運んできた新しいパンクの形
BiSHは新しいパンクの形を運んできたと思います。最初の曲からある意味で異常。動物のフンにまみれながら、かわいらしい少女が歌っているのです。そしてその歌詞が、「バケモノだっていいのさ、星の瞬く夜に」という内容で、バケモノに自分たちがフンにまみれた姿を投影してミュージックビデオは終わるのです。この歌には少女時代のはかなさとバケモノの愛らしさが表現されているのではないでしょうか。
そのほかにも、「オーケストラ」で切ない愛の物語を表現したり、「beautifulさ」ではやりきれない心のもどかしさを表現したり、「NON TiE-UP」では暴力と性を表現したりと、曲に様々な思いが込められています。
その中でも1番私が好きなものは「プロミスザスター」です。この曲は、少女のはかない夢とそれを邪魔する自分の弱い心を訴えたいんだと思います。ダンスの振り付けも最高。音楽のサビの部分で、自分の指を切るしぐさをし、それを六芒星に懸け、夢をどうしても叶えるんだという誓いを体現しているようです。映像もよいです。少女が人々の間を生気もない姿でさまよい、時には人にぶつかりながらも、前へと歩く、その姿がまるで夢を追い求めてさまよいながらも生きている現在の若者たちの姿を投影しているかのよう。以上の理由で私はBiSHが好きです。