女性と男性の違いもわかるかもしれない「ベイビー・ブローカー」
韓国では国民的歌手としておなじみのIUではなく、主演俳優イ・ジウンとしてのIUをこの映画で見ることが出来る。
IUは美しくきれいだが、この映画で演じる「ムンソヨン」はハマっている役柄に思う。ムンソヨンは若くして子を宿してしまい、相手方もなく出産後は路頭に迷い、苦悩して赤ちゃんポストに預ける。その後赤ちゃんを取り戻すが、のちにブローカー組織とともに我が子を売ろうとするという役だ。また、ムンソヨン自身も粗末な孤児院的部屋で暮らしていたのだった。現代社会での闇部分が描かれているようで、リアリティがあり痛みを感じさせられる。
40代に突入しベテラン俳優の域に入ったカンドンウォンは、相変わらず容姿端麗。そのカンドンウォンが演じる「ユンドンス」も幼少期からの闇が深く、児童養護施設職員として働いているが、家庭環境に恵まれなかった子供たちの行く末のひとつであるかのように感じさせる。
家庭環境に恵まれない、またこれまで恵まれていなかった人々が、学校や自宅以外で自分だけの居場所があることの大切さがわかるシーンがある。
家族以外の者たちで絆を持って行動していくが、その距離感や存在意義についても温かさや一瞬の楽しさを共有する心があった。
結局はお金に困っても、殆どの女性は産んだ我が子を本能では簡単に手放すことができないことが描かれており、男性の本能にはないのかもしれないという違いも受け取れる作品だった。