普通の女の子が芸能界で奮闘する話
主人公はどこにでもいるような女の子で、とある事情から高校には通えなかった。
そんな彼女が、大好きだった幼馴染の男の子に捨てられたことをきっかけに芸能事務所に入るところから物語が始まる。芸能事務所には入ったが動機が不純な主人公には苦労の連続である。そんな中で1つひとつ経験と努力を重ねて表舞台に立てるようになっていく。かつて自分を捨てた幼馴染や、子どものころの一時期を一緒に過ごした少年との再会があったり、そこに恋愛が絡んでくるなどとジェットコースターのように様々な展開がある。
主人公は決して美人ではない。しかし、そのひたむきな努力と真摯な姿勢に好感が持てる。また、他人を愛したくないし愛されたくない、というやっかいな事情を抱えてしまっていることで周囲の人間とのやりとりがおかしなものになってしまうところも読んでいて笑ってしまう部分である。
登場人物たちは全員が個性的で、主人公以外にもなんらかの複雑な事情を抱えている人物も多く、愛着の持てるキャラクターばかりである。主人公に対してひどいことをしたキャラクターも含め、全員の幸せを願ってしまう。
芸能界の描写も細かく描かれているので、作者の先生は相当取材をされたのだろうと思わずにいられない。ジャンルとしては、芸能界のし上がりラブコメ、といったところか。所々で人物の身体のバランスがおかしな時があるのだが、そこを差し引いても1度は読んでおくことをお勧める。