メイド喫茶と任侠の融合!メイドがバッタバッタと死んでいく
舞台はオタクの聖地秋葉原。田舎から上京してきた和平なごみは、念願かなってメイド喫茶とんとことんで働くことになる。いわゆる萌え萌えなサービスをご主人様、お嬢様に提供するのが、メイド喫茶のメイドの務めだ。しかし、このアニメの世界のメイドたちは裏の顔を持っていた。
ライバル店とのいざこざは日常茶飯事、銃の打ち合いは当たり前。躊躇なくバッタバッタとメイドが死んでいく。その様はヤクザの抗争そのものだ。
可愛いフリフリのメイド服を着た女の子が、罵声をあげながら、メイド喫茶へ殴り込みにいくなんて、誰が想像しただろうか。
新人メイドの和平なごみもまたその1人だ。メイドの表の顔しかしらずに、ただただ萌え萌えキュンキュンなメイドにあこがれて上京してきたのに、蓋を開けてみれば、暴力と拳銃の打ち合いが日常茶飯事。
困惑するのも無理はない。
なごみと同じく新人で入ってきた35歳のメイド、万年嵐子は華麗な銃さばきで、大勢のメイドたちを華麗に倒していく。バックミュージックには萌え萌えな電波ソングがながれ、オタ芸を踊る要領で華麗にぶっ殺していく様は、たいへんコミカルに描かれていて、とても印象的なシーンのひとつ。
なぜメイドには暴力がつきものなのか。
なごみはアキバのメイドの現状を変えようと孤軍奮闘する。その熱い思いに打たれ、次第にとんとことんのメンバーも、なごみの思想に賛同するようになる。
この作品は、なごみの成長もみどころの一つだ。殴られ、蹴られ、ぼろ雑巾のようになっても、めげずに信念をつらぬこうとする姿にきっと心を打たれるはずだ。
そして、意外にも任侠要素が濃い。血の気が多いキャラの多いこと(主にライバル店や他店のメイドたち)。とんとことんのメンバー全員死亡なんてバットエンドを考えてしまうほど、なんの予告もなく簡単に人が死んでいく作品だ。バイオレンスものが苦手なわたしでもみられるのはやはりコミカルに描かれているからだと思う。キャラクター然り、ストーリ然り、絶妙なコミカル具合が魅力の一つなのだ。
ところどころに任侠作品のオマージュがちりばめられており、リスペクトが感じられる。見る人を選ぶ作品といわれればそうかもしれないが、不思議な魅力がある稀有な作品だと思う。