米津玄師のうみだす歌詞とメロディにみる彼の人物像
2013年にデビューし、2018年にドラマ『アンナチュラル』の主題歌「Lemon」が爆発的ヒットをし、その魅力がより広く知られるようになった。他にも彼の代表作として「アイネクライネ」や「ピースサイン」があり、ここには書ききれないほどの名曲の数である。
彼の果てのない人気の理由として、彼の歌声や曲のメロディが良いのはもちろんのこと、1つ1つの曲に刻まれた歌詞がたびたび注目されている。
彼の歌詞には彼の想像力や表現力が存分に書かれている。人々を魅了し続ける人物像も、この歌詞から伝わるメッセージから十分に想像できる程だ。
「アイネクライネ」は落ち着いた雰囲気の曲ではあるが、歌詞からは悲痛な叫びのようなものが伝わってくる。「消えない悲しみも綻びもあなたといれば それでよかったねと笑えるのがどんなに嬉しいか」、何度も繰り返される「あたしの名前をよんでくれた」という歌詞がある。
自分の名前を呼び、自分を1人の人間としてくれるその人、どうしても失いたくない人の存在。彼はそれを求めているのか、それとも既にそのような存在がいるのか。私たちはこの歌詞から彼のメッセージへのイメージを広げていける。
さらには「彼はだれかそういう存在を求めていきてきたのかな」とか、人物像までもそのイメージを広げられる。これは彼のすべての曲にいえることだ。
実際、彼は幼いころのケガの後遺症や高機能自閉症、いじめなど決して明るくだけではない日々の中で過ごしてきた。米津玄師の生み出す歌詞は、彼が見えないものと戦っていた日々などの、「米津玄師」という1人の人間のことを世に表現する力がある。